三つ子の魂
報道によると、感情をうまく制御できないキレる子供たちの増加が指摘されていることを受け、文部科学省の検討会が「情動は5歳までに形成されるため、乳幼児教育が重要だ」とする報告書をまとめたようだ。
今更という気がする。乳幼児教育が何であるか理解していない親に問題があることはすでにわかっている。そして報告書で指摘する「5歳まで」が満年齢を指すとすれば、それは既に手遅れである。
昔から「三つ子の魂 百まで」というのは先人の知恵で、現代の学者や教育者が指摘するまでもない。すなわち、「三つ子」というのは数え年の三歳だから、現代風に言えば満2歳である。育児の専門家によると、この年にその子供の将来にわたる性格やものの考え方が決定すると言われる。2歳未満でもなく、3歳以上でもない、この満2歳がことのほか大切なのである。その時に、環境も含めて、親がどう対応するかで、その子供の人生が決まると言ってよい。
この時期は、乳児から幼児に変わる時とも言えようか。自分の意識を持ち始めるので、親は子供のやることを押さえつけてはならない、といわれる。ところが、実際、親はそれを押さえつけるので、問題児に発展しやすいとのことだ。すなわち2歳未満の時と子供の行動が明らかに変わることを理解し、過保護にしないことだ。
乳幼児教育というと、難しく考えがちだが、乳幼児の成長過程を理解して、親がいかに子供に接するかが大事と思う。お母さん方は、温かい心を持った子供を育てて欲しい。また乳幼児教育は母親が、本能的に乳幼児を理解できるのに対して、所詮父親には無理なことはわかっている。父親の出番は残念ながら、せいぜい、それ以後のようだ。
参考文献:内藤 寿七郎『育児の原理』
*追記
内藤 寿七郎先生は、2007年12月に逝去された。享年102歳。ご冥福をお祈りする。
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