« “自由”と規制緩和 | トップページ | 関西のおばちゃん »

2006年2月13日 (月)

政治家の花道の難しさ

歌手だった山口百恵さんは人気の絶頂期に惜しまれて引退した。しかし、政治家は、なかなかあのようにはいかないようだ。小泉首相も、郵政民営化法案が通った時点で、身を引いておれば、名宰相と謳われることになったかもしれないが、チャンスを逃したようである。

郵政民営化法案成立後の状態は、彼一人の責任ではないが、決してよくない。だがワンマンの限界かもしれない。そこで問題になったことを整理してみた。次のようなことが挙げられよう。

①昨年12月14日、ブッシュ大統領はイラク戦争に対し、「大量破壊兵器情報の多くは誤りだった」と大義がなかったと発言した。このことにより、自衛隊派遣の大義もなくなった。結果的に残ったのは、日本も英米陣営として軍隊を派遣してきたという悪い印象をアラブの人々に植え付けただけになった。そして日本がテロの標的の範囲内に加えられたことだけだ。

②マンション耐震偽造事件発覚により、属する派閥の関与が疑われたこと。検査民営化に伴う建築基準法などの見直しができておらず、国土交通省の指導体制の改革ができていなかったことが露呈した。その後、東横ホテルの建築基準法違反など、見て見ぬふりをしていた国土交通省の体質がさらに露見した。この結果、国民に建設業界に対する不信感を植え付けた。

③ライブドアの不正事件。よく論じられているように衆議院選挙にホリエモンを担ぎ出し、そのセンスの悪さを問われている。また証券業界の構造的問題を露呈させた。過剰な上場が根本原因にある。それにホリエモンを小泉首相を支持している日本経団連が支援したセンスも問われている。その結果、日本経団連の見識が問われ、その支持母体が揺らいでいる。

④米国産牛肉輸入再開をブッシュ大統領の支持基盤に配慮して、日本国民の保護を無視して、急ぎ過ぎた。その結果、多くの国民から支持を失った。

⑤頑なな対中国外交で、米国からさえ、最早支持されていない。靖国神社に行くことが、どういう影響を及ぼすか何も考えていない。中国の駆け引きの材料にますます利用されるだけである。参拝するのは、首相官邸からでもできる。引退すれば、毎日でも参拝できるだろう。首相の信念と政治は切り離すべきなのだ。中国が当時の中国為政者の責任を問わないで、日本だけを責めることが正しいとは思わないが、首相のやり方は外交ではない。

⑥北朝鮮外交との交渉のまずさ。政権前からの過去の政治家が、自己のためにいろいろ画策したことを整理せずに、結果を求める甘さは、かの国から足元を見られている。外交テクニックがないのなら、かの国が崩壊するまで、拉致問題に対する制裁だけして、あとは何もせず動かなければよかったのだ。

⑦中国、韓国を除く他のアジア諸国に対する軽口で、不信感を与えている。アジアが全く見えていない。味方になりうる東南アジア諸国を敵にまわしてどうするのか。歴史の不勉強もはなはだしい。

⑧皇室典範に関する改正に対する強行発言の割りに、このことの本質を理解していないレベルの低さを露呈してしまった。国民に自らの無知を恥としてさらしてしまった。多くの国民はバカにしている。こんなリーダーをなぜ支持してしまったのかと。

ざっと、気がつくものだけ列挙したが、まだ、その他にもあるかもしれない。確かに小泉首相は、あの泥沼の時代に予定外の首相になったにもかかわらず、過去の自民党政権の失敗の尻拭いをして、経済の方向性を確立したことは評価できる。

しかし、優先順序をつけず、あれもこれもと課題を抽出しすぎて、国民を混乱させてきたことは否めない。ところが予想以上に衆議院選挙で大勝して、おかしくなったようである。選挙などせずに、郵政民営化法案成立を条件に、身を引いておればよかったのだ。しかし、それはできなかった。

そして、いつのまにか首相はワンマンであるが故に、裸の王様になってしまった。国民は彼がバカに見えて、彼のやり方にだんだん飽きてきた。人気を当てにした政権は比較的脆い。人間の評価は前半より後半にある。首相に花道は用意されていないだろう。彼の引き際がどのようになるのか注視したい。

|

« “自由”と規制緩和 | トップページ | 関西のおばちゃん »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99784/8635783

この記事へのトラックバック一覧です: 政治家の花道の難しさ:

« “自由”と規制緩和 | トップページ | 関西のおばちゃん »