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2006年3月20日 (月)

消費税増税論議を考える

二宮尊徳が、『植樹の秘訣』について、次のように語っている。「樹木を植えるに、根を切る時は、必ず枝葉を切り捨つべし。根少なくして、水を吸うの少なければ、遂に枯るるものなり。大いに枝葉を切りすかして根の力に応ずること肝要なり」と。

政府関係者が、盛んに消費税アップは10%以内とか予防線を張り始めた。財政当局は、政治家を巻き込んで、将来に向けた自らの運営が楽になるための喧伝が過ぎるように思われても仕方ない。

それに、国の財布を預かるものとしての立場はわかるが、国や地方は政策の失敗の責任は誰も取っていない。無駄な支出も遅々として改革できていないし、結果的にドラスチックな歳出改革も進んでいない。

それでも、小泉政権後はどうしても消費税を上げたいらしい。国債残高の積みあがりや将来支出の増大予測で、国・地方は身動きできなくなり、そのつけを全て消費税増税に回すことで処理しようと踏み出すのであろうか。なぜ消費税だけがターゲットになるのであろうか。他に増収案はないのだろうか。そして、本当に消費税増税が必要なのだろうか。

確かに、現実問題としては、デフレ時代の財政政策の失敗と高齢社会到来による財政負担の拡大は避けられないようだ。だが財務省の消費税増税に関して、国民が納得する資料は提出されていない。実際は、特別会計改革と社会保険関連との二つに絞って国民を説得すればいいのである。

そして、まず特別会計関連にはもっと厳しく踏み込んでいくべきだろう。国民の真の協力を得ようとすれば、彼等自身や政策ミスした彼らの先輩達が身を切らない限り、国民の協力は得られないことがわかっているのだろうか。

国や地方の“暮らし方”は、稼ぎが少なくなっているのに、まだ“派手に暮らしている”。ドラスチックな改革は進んでいない。例えば、債務超過で、とても支払える状況ではないのに、政治家も官僚も俸給はそんなに下がっていないし、退職金も廃止されていない。天下り先の特殊法人の改革もまだまだだし、独立行政法人も変な状態になりつつある。それに地方自治体はもっとひどい。官僚機構が邪魔をして、歳出削減はままならない状況が続いている。地方の特殊法人も同様である。

それらの処理が完了しないのなら、安易に消費税増税に手を染めるべきではない(但し、社会保険改革は同時に進める必要がある。特に年金改革は平行して進める必要がある。後期高齢者の年金支給額の上限も考えねばならないかもしれない)。

更に言えば、国が税を集めて、それを分配する時代は終わろうとしていることが十分に認識されているかということだ。小さい政府にするなら、それなりの身代に変更しなければならない。また「小さい」政府というが、“どれくらいの規模”の政府にするかも明言されなければならない。そして、その規模に相応しい税体系に変更する必要があるだろう。

そのことを踏まえて、どうしても、税収が不足するなら、増税を国民に認めてもらわねばならないかもしれない。しかし、税収を増やす手段は、消費税だけではない。増税手段としては、優先順位しては、次のことが考えられるはずだ。

① まず所得税の累進課税の強化。現在、累進課税が機能していない。そのため、所得の再分配がなされていない。都市と地方の格差は広がるばかりである。

② 法人税の増税。デフレ期、法人税はかなり軽減された。増税のタイミングは難しいが、日銀も発表しているように景気はかなり堅調である。

③ 日本に進出している海外金融機関の不正は多い。彼等は軽い刑で野放しにされている。日本は市場を開放しているのだから、彼等がルールを守らないのであれば、厳しい制裁をして、もっときつい課徴金を課すべきである。

④ ①、②、③で以ってしても、歳入改革が進まない場合、初めて、消費税増税を国民に要請できるのだ。だが、消費税増税は、タイミングによっては、非常に景気を冷やすので、慎重に検討すべきものである。ベストの導入は過度のインフレ懸念が強まった場合に増税することが望ましい。

以上のことを整理し、若干付加説明するなら、次のようになる。

ⅰ 政治家・官僚は、政策の失敗責任をとり、かなりの減俸か、リストラが求められること。国債残高処理のための増税には、責任処理として、国民に協力を求めるなら最低限求められる。
ⅱ 特別会計予算をすべて一般予算に転換すること
ⅲ 小さい政府の規模を国民に明確化すること。それに伴い、社会保険改革、特に年金改革に国民の協力を要請すること。予測できなかった厚生労働省の政策ミスは明らかなので、その責任を取ってリストラすること。
ⅳ 小さい政府に相応しい税体系にすること。
ⅴ 増税プランの順番は、所得税の累進課税の強化→法人税増税→海外金融機関の懲罰強化・課徴金強化→消費税増税とすること

以上のことをいい加減にして、消費税増税するなら、国民から大きなしっぺ返しがあるだろう。原点に戻って、尊徳のやり方を今一度再考する必要がある。

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