« 童話の裏側と浦島太郎(上) | トップページ | 権威ある人とは »

2006年9月20日 (水)

童話の裏側と浦島太郎(下)

そして、『浦島太郎』の古い原型は、『丹後國風土記』にあるようです。流風は残念ながら知らなかった。以下に、四方田犬彦氏が記されたものを、箇条書きで引用する。

一、 浦嶼子は雄略天皇の御世に、丹後与謝郡日置里筒川村にいた筒川嶼子という人物であった。

二、彼はある時、小船に乗って釣りをしていたが、三日三晩たっても1匹も釣れず、最後に五色の亀を釣り上げた。

三、奇異に思ったが、そのまま眠ってしまい、眼が覚めると、亀はいつしか美しい女性、亀比売に変身していた。

四、彼女は自分が天上の仙の娘であり、風雲に乗って到来したと語り、浦嶼子に求愛するのだった。

五、浦嶼子が目を瞑ると、二人はただちに海中の巨大な島に到着した。蓬莱山であった。

六、美しい邸宅には、七人の子供、八人の子供がいて、彼らはそれぞれスバル、アメフリという天界の星々だった。

七、浦嶼子はこの「神仙の堺」で歓迎を受け、亀比売と夫婦の契りを交わすと、三年の歳月を愉しく過ごした。

八、そのうち故郷が懐かしくなったので、その旨を告白すると、姫は嘆いた。

九、だが、彼女は最後に玉匣(たまくしげ、箱のこと)を渡し、これを決して開けてはならぬと、誓わせると、彼を見送った。

十、筒川村に戻った浦嶼子は、三百年以上の歳月が経過していることを知った。

十一、浦嶼子はつい神女との約束を忘れ、玉匣を開けたところ、たちまちその肉体は芳香を放って、風に乗って天に飛んでいってしまった。

十二、浦嶼子がもう二度と神女に会えないのかと嘆いて歌を詠むと、どこか遠い彼方から妻の神女がそれに応じて、歌を返した。それを聞いて、夫もまた歌を詠むのだった。

こう見てくると、明らかに、私たちが知っている「浦島太郎」とは異なる。原型の『浦島太郎』と書いた意図も大きく違うようである。それは、時代を経て、『御伽草子』で大きく手が加えられ、それが明治時代に、さらに塗り替えられる。

だが、四方田犬彦氏によると、書き換えられたものは、論理矛盾は残ったままになり、近代人の想像力の貧困化であると指摘する。だんだん人間の発想が現実的になり、話のスケールが小さくなっていると言うのである。

流風は、『御伽草子』で、どのように書き換えられ、どのようなものか把握していないので、何とも言えないが、彼の指摘通りとすると、それは現代人が、原型の『浦島太郎』のように、見えないものを見る余裕を失っているということかもしれない。

まあ、もう一度、いろんな『浦島太郎』を読み返してみるか。まさか、この歳で、読むことになるとは思わなかった。だが、絵本を読んだ人は多くても、元の本を読んでいる人は少ないかもしれない。そうなると、『竹取物語』も読みたいなあ。

また、別の関心事としては、子供の頃、童話を読まされて、私達はどのような影響を受けているのだろうか、ということ。だが残念ながら、流風にはとても分析できそうにない。そのことは、やはり専門家にお任せしよう。

|

« 童話の裏側と浦島太郎(上) | トップページ | 権威ある人とは »

古典文学・演芸」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99784/11967325

この記事へのトラックバック一覧です: 童話の裏側と浦島太郎(下):

« 童話の裏側と浦島太郎(上) | トップページ | 権威ある人とは »