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2006年9月30日 (土)

政治において、美しいとは

安倍首相が「美しい国、日本」を提唱されている。若干、流風的に、取りとめもなく、感想を述べてみよう。

さて、このスローガン、気持ちとしては、最終目標として、「美しい国、日本」を創造したいということだろうか。だが、政権構想のパンフレットを読んでも、なぜ、「美しい国、日本」になったのか、わかりにくい。

このパンフレットでは、「美しい」という言葉は、「美しい国土」というところだけに使用されている。特に「美しい」とは何かの説明もない。どうも「美しい国、日本」というのは、こじつけのように感じられる。

更にパンフレットを読むと、目指しているのは、「日本を世界の人々が、あこがれと尊敬をいだく、そして子どもたちの世代が自信と誇りを持てる」国家を築きたい、ということのようである。それ自体は悪くないが、それが、なぜ「美しい国、日本」につながるのか、よくわからないのだ。

与件が以上に挙げられたことなら、流風なら、「新・武士道国家の創造」を打ち上げるだろう。確かに、「武士道」という言葉は誤解されやすいから、避けたのかもしれないが、現在の不安定な国際社会に日本が果たすべき役割として、ぴったりの言葉だ。日本としては、「武士道」を世界に説いていく必要がある。

ところで、この「美しい」という文字を見ると、「美」の語源は、その文字の通り、「羊が大きい」ところから来ている。すなわち、肥えて大きな羊→良い→美しいとなる。肥えるだけ、肥えさせられて、最終的に「美しい日本」が、狼にパクッとやられてはいけないと思うんだけど(笑)。

あまり茶化すと叱られそうなので、追加的に記すと、辞書には、その意味は、次のように示されてある。それを流風が独断と偏見で、安倍氏の意向を踏まえ(ウソだよ)無理やり政策と重ねると(笑)、

 ⅰ うまい。おいしい
        → 世界で魅力的な日本て何?
 ⅱ よいこと。よいもの。
        → 日本が世界で良いことをするとは?
 ⅲ よくする
        → 日本を今より良くするとは?
 ⅳ うつくしい。うるわしい。
        → 日本を見栄えの良いものにするとは?
 ⅴ ほめる
        → 世界から褒められる日本とは?

なんて課題が出てくる。ほお、これだと、「美しい国、日本」は深謀遠慮だねえ(笑)。

ただ目標に、「美しい」にスポットを当てているのは、やや女性ぽい。それは女性は汚いものを避けて、美しいものが好む傾向があるからだ。

絵画を描かせても、写真を撮らせても、彼女等は、草花を対象とする時、花を中心に被写体にする傾向が強い。それを支えている茎や葉や根にスポットを当てた作品は非常に少ないのだ。

本来、「美しさ」の根っこには、美しさを支えるために、いろいろなものがあるし、その活動は、汚れたどろどろしたものがある。「美しい」とは見えている派手な現象面の判断に過ぎない。国民にきれいなものだけを夢想させるのはよろしくない。

すなわち、「美しい」だけにスポットを当てることは、現実の目の前の気持ちの良い現象のみを重視するということだ。実際のどろどろしたプロセスには目を瞑る傾向がある。しかし、国民が、夢見る乙女では困るのだ。政治は現実だからだ。

政治とは、本来、両方にスポットを当てなければならない。「汚い」ものをどのように取り扱って、どのように「美しく」するのか、そういう問題に目をつぶっては、「美しさ」は得られない。清濁併せ呑むということは正にそのことだ。国民には、「汚い」部分と「美しい」部分の両方を理解させるようにもって行くのが政治ではないか。

「美しい日本」とは、現代が女性の時代だから、女性有権者におもねて、配慮し提唱しているのだろうか。そのように、「汚い」部分を覆い隠すのには、若干危いものを感じる。提唱の中身はいざ知らず、言葉の影響は大きい。今一度、スローガンを見直す必要があるのではないか。

それに、余談になるが、「美」の俗称は、「アメリカ合衆国の略称」でもある。安倍首相は、まさか、そのことを意味されたものではあるまい。変に訳すると、「米国らしい日本」になるのだが(笑)。考えすぎか。前首相とは違うもんね。

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