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2006年10月17日 (火)

ロシアとのビジネスの限界

ロシア国境警備隊が、日本の漁船に銃撃して拿捕した事件や、サハリン2の一方的間中止は衝撃的だったが、日本企業は、基本的に彼らとは組めないことがよくわかった事件だ。北方領土界隈は、灰色のビジネスが蠢いてることは理解するが、彼らとの付き合いは難しい。

そこで、今回は、ロシアビジネスについて、主として話題になったエネルギー問題を中心に、例によって、一般人の感覚で、整理してみよう。とりあえず、若干箇条書きにして、列挙してみる。

①結論的に言えば、ロシアとのビジネスは、古い体質で、政経一体のため、難しい。それに地下経済が力を持っており、それが政界と癒着している。

ここでは、前近代的手法を取らないと、ビジネスに取り込めない。日本がまともに取り組むには、他のアジア諸国以上に、あまりにも法律的限界がある。それは、結局正規ルートではビジネスが不可能ということを示唆している。現在話題になっているロシアのエネルギービジネスに関しても同様のようである。

②それに彼らの思考は複雑だ。政治において、その“詐欺的外交”は、日本がまともに組める相手ではないことはよく知られている。北朝鮮にその手法を教えたのはロシアと言われる。それは政経一体となっているビジネスでも、遺憾なく発揮される。

すなわち自己都合による独善的ルール変更、自己中心的基準設定による議論のすり替え(多面的、多段階的、歴史的時間差など)、対立論法変幻自在、仮定に不当性が含まれる論法などにより、議論の舞台を変える巧妙な手口で、相手を撹乱させて本心を隠す。彼らとは、親族にでもならない限り?まともな前向きな話はできない。

③今回話題になっているロシアとのエネルギービジネスを考える場合、このエネルギー問題に関しては米国のエネルギー戦略が絡んで、余計に複雑である。

米国は世界の石油を押さえることによって、覇権を目指している。フセインをそそのかしたクウェート侵攻、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争は全て、米国の仕組んだシナリオ通りだろう。それはまさに世界覇権のための石油戦略とつながっている。それらのことを考慮せずに、単独でロシア・エネルギービジネスを考えても、あまり意味はなさそうである。

それらを踏まえた上でエネルギー戦略を考えなければならない。ロシアだけ見ていると勘違いする。政治の視点と企業の視点は異なる。日本の政治は民間企業の視点に引き摺られている。

④エネルギー戦略がらみで、ロシア連邦の再編阻止をもくろむ米国の意向を汲んだ小泉前首相が、辞める直前になって、中央アジアへのエネルギー外交したことが、いたくロシアを刺激したようである。

日米は一体でロシア連邦の再編を阻止しようと狙っていると判断し、先手を打って、サハリン2の一方的な中止命令を出したのかもしれない。日本の外交も、何を意図しているのか不明なほどバラバラである。八方美人外交の限界ともいえる。日本外交にも問題はある。

⑤そもそも、サハリン2プロジェクトは、一部の日本の自民党の政治家が、ロシアの政治家とつるんで、国内の電力会社・ガス会社を説得し、ユダヤ石油資本から働きかけがあった日本の商社を巻き込み、大プロジェクトとして推進したと言われている。

これも複雑だ。はるかに大きな多面的仕掛けが日本になされたのだろう。日本の資金を引き出すために、黒幕によって多くのシナリオが描かれているのだろう。日本は単にビジネスとして乗ったのかもしれないが、そこに甘さがあるように感じられる。

⑥ロシアにとって、現在は、その過渡期で、ソ連邦が解体され、民主化時、アングロサクソンにやりたい放題されたこともあり、資源ナショナリズムが沸き立って、保守的になっているとも言える。

その結果、資源は戦略的外交手段となっている。日本にとって安定的な供給先としてはロシアは適切ではない。あくまでスポット的な取引と考えるべきだろう。

⑦本質的には、日本が、ロシアとビジネスで組むには、半世紀早いように思う。いくら民主化の方向にあるとしても、その進捗状況は行きつ戻りつで、その歩みは遅いし、民主化するには実際、時間もかかるだろう。特に女性記者アンナ・ポリトコフスカヤの暗殺は衝撃的で、当面ロシアは民主化は期待できない。もう一度、革命を要する。

結局、ロシアの民主化が確立されるまでは、日本ビジネスは静観すればよい。日本が、まだ方向感の定まらない現在のロシアと組むには、余程度胸の据わった民間の人間でないと、処理できないだろう。凡庸な政治家や平凡なサラリーマン経営者にできることは限られる。

確かに、欧米諸国の進出が気になるだろうが、ロシアと交渉慣れしている彼らにしたいようにさせればいい。我々が進出するのは、その後で十分だ。どうしてもと言うなら、せいぜいリスク管理できる範囲内で、彼らのお手伝いを、すればいい。それでも、持ち込まれた案件を十分にあまり期待せず、裏を取ることが大切だ。

⑧エネルギー問題とは直接関係がないが、ロシアが政経一体である以上、日本としては、未だに北方領土を返還しないロシアなどとは適当に付き合っておけばよい。

政治家は国連の常任理事国がちらつくのであろうが、資源価格が暴落し、ロシア経済が傾けば、最終的には北方領土は金で買ってもいいのだ。彼らの面子が立つように配慮できるかが鍵だ。

それには基本的に、返還交渉を粘り強く続ける共に、当面は、突き放して、そのタイミングをじっくり観察して、その時が来るまで待つことだ。日本としては、ありきたりの外交ではなくて、そのような泥臭い戦略が求められる。

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