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2006年11月 1日 (水)

浮遊する大阪経済

大阪の景気も少しは良くなりつつあるようだが、そのテンポは非常にゆっくりしたものだ。大阪経済の地盤沈下が言われて久しい。あの武田薬品も研究所を神奈川県の藤沢に移すらしい。大阪の老舗が、どんどん東京方面に吸い取られていく。その結果、地盤沈下はますます深刻になる。

だが、当局は本当の危機感が薄く、何も手を打ってこなかったのが実情だろう。ある東京の学者は大阪の地盤沈下について、過去に述べていたことを少し思いだしつつ整理してみた。

まず、バブルで、大阪を根城とする金融資本が傷ついたことが、現在でも大きく影響している。旧住友銀行、旧三和銀行、旧大和銀行などの都市銀行はもちろん、地方銀行の破綻は、大阪経済を根こそぎ、ひっくり返してしまった。公的資金の返済は徐々に進んでいるようだが、その傷は未だ癒えず、大阪の活力を奪っている。その結果、大手企業は見放し、東京にウエイトを置く結果になった。当時の金融政策と金融機関の作り出した罪は大きい。

次に、大阪は、大学を周辺に追い出してしまい、大阪に情報の基盤を失ったことが、経済の地盤沈下につながっている。結局、それが、「東京の下請け化」を促し、東京にとっては、大阪は「一つの地方」に過ぎなくなったというのである。最早、牙もとられて、かつてあった東京に対する抵抗心も失われているのかもしれない。

そして、もう一つは、よく言われていることは、大阪の「地の人間(地元の人)」は伝統的に“仕事”をしないということだろう。そんなことを言うと、「何を!俺はちゃんと仕事している」と言われるかもしれない。

だが、それは“仕事”ではなく、“作業”の場合が多い。伝統的に、大阪は他の地区からやってきた人々がビジネスを起こしている。地の人は、彼らに使われている。そして、年月と共に、よそ者も土着化する。そうして、新しい活力が停滞する。東京が活力があるのは、将来はわからないが、次々と新しい人が入っているからであろう。

そういう意味では、現在、大阪は、他の地区(あるいは他の国)からの人材の流入が少ないのかもしれない。そういう人々を受け入れる素地をもう一度確認すべきだろう。そうすれば、彼らが新しいビジネスを創造してくれる。それを後押しすればいいのだ。

残念ながら、以上の指摘は当たっていると思う。だが、当局は、この指摘を十分に活かしていない。

新しいビジネスを育成する新しい金融の仕組みはまだできていない。ベンチャー育成と言って、投資を促すが、そこに行くまでの人材の育成を怠っている。結果的に、中途半端なベンチャー企業が多すぎる。当局や金融関係機関が人材の育成の重要性にいつ気がつくのであろうか。それらはお金だけで解決できるものではない。

それに大学は増えていないし、それに伴う産業の研究所も増えていない。何か基幹になるものがなければ、情報は集まらない。集まらなければ、分析もできないし、課題も見つからない。当局は、暢気に時代を読めなかったということでは済まされない。

そして、他の地区からの人々の受け入れも積極的ではないかもしれない。新しいビジネスの創造が一体何を意味するのか、考え直す必要があるかもしれない。全く新しい発想をする人々を迎え入れる環境を整えることが大切ではなかろうか。当局は、それを踏まえて、人々を説得すると共に、企業が進出しやすい環境を整備するべきだろう。

結局、基本に戻って、よく言われる、「人、モノ、金、情報」の再整備が必要だ。当局は今からでも整備をするべきだろう。現在のままでは、東京に大きな災害でもない限り~過去に関東大震災で実績がある~、大阪の復活は望めないだろう。当局は、もっと考え方を変えて、大阪の再建に取り組んで欲しい。

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