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2006年11月22日 (水)

論語と算盤

『論語と算盤』は渋沢栄一の著作だが、彼の言わんとしていることは、功利主義と道義的見方のバランスである。彼は明治時代に、民主主義・自由主義の問題点を喝破し、基本的な解決方法を明示している。

すなわち、功利主義とは、どちらが利益であるかという見方である。もう一方の道義的見方とは、どちらが正しいかということである。そのバランスをいつも考えることが産業人にとって使命である。

また、彼は、その功利主義さえも、「論語」で言われていることをベースにしていると述べ、次のようにも言っている。

「私は人の世に処せんとして誤らざらんとするには、まず論語を熟読せよというのである。現今世の進歩にしたがって欧米各国から新しい学説が入ってくるが、その新しいというのは我々から見ればやはり古いもので、既に東洋の数千年前に言っていることと同一のものを、ただ言葉の言い回しをうまくしているのに過ぎぬと思われるものが多い、欧米諸国の日進月歩の新しいものを研究する必要はあるが、東洋古来の古いものの中にも棄て難いもののあることを忘れてはならぬ」と。

これは、流風が若い頃、次々と経営書を購入する姿を見て、父から、そんな遠回りなことはするな、古典を読めば足りる、と言われたことに通ずる。これは、全ての原点は、「論語」にあるという渋沢栄一の考え方と一致する。こういうことは、明治時代以降、変っていないことを示すものだろう。若い人は、西洋の学問が優れていると錯覚しがちだが、必ずしもそうではない。特に人間学を要するビジネスにおいては、特にそのように言える。

残念ながら、これは現代の日本の経営者が忘れかけていることかもしれない。すなわち、最近の功利主義にならされた大企業の経営者の中には、道義が軽んぜられているように感じる。確かに法律の範囲内での活動には違いないが、広く世間を見渡した真の利益を追求していない。欧米的経営に影響されて、自分の企業さえよければそれでいいという考え方は偏狭すぎる。もっと上の経営者を目指して欲しい。

*渋沢栄一著 『論語と算盤』(国書刊行会)は若い方にも、是非読んで欲しい。最近の経営書を何冊も読むより役に立つはずだ。そして、『論語』を学んで欲しい。ビジネスの原点は『論語』にあるといって差し支えないと思う。

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