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2007年1月 9日 (火)

日本三大嫉妬婦人 その一

男女関係において、必ず男が経験するのが、女性の嫉妬である。女性においては、嫉妬というのは、切り離せないものらしい。きれいな花にに棘があるというが、人間世界では、どんな花にも嫉妬がある。

しかし、男にとって、女性の嫉妬ほど気分が滅入るものはない。女性は、嫉妬は愛情の裏返しだというが、いい加減にしてもらいたいものである。もちろん、いくら流風が言ったところでなくなるものでもあるまい。そうかといって、女性とお近づきにならないというのも辛い。

そこで、日本の歴史上で、三大嫉妬婦人(三妬婦)を取り上げてみよう。まず、今回は、須勢理比売を見てみよう。一応、神話の『古事記』の登場人物ということになっているが、昔、似たようなことはあったのではないか。口伝えだから、いろいろ尾ひれはついているだろうし、真偽の程はわからない。

一応簡単に説明すると、八千矛神(大国主命)の須勢理比売は、須佐之男命の娘である。彼女が八千矛神と一緒になったきっかけからして、彼を強く愛していたに違いない。八千矛神への彼女の父からの迫害(実はテスト)に対して、度々手を差し伸べて助けているからだ。なお、「大国主命」という名は、そのテストに合格した後、八千矛神に対して須佐之男命が命名したものである。

それにしても、これは単なる神話とも思えない。娘をやる父親の心境としては、彼が適格かどうか一応テストしてみたくなるのは、現代の父親でもそうであろう。娘を持つ父親であれば、誰でもそういう気持ちになることであろう。でも、いくら神様の世界とはいえ、須佐之男命は少しやり過ぎであろう。神話としては面白いが。

だが、その愛していた彼も、新しい彼女へと浮気する。彼は、明確な理由はわからないが、彼女との間に子供ができなかったと云われている。男は、いつも遺伝子の継続を本能的に望む。

そして、いろいろ女性を捜し求めるが、なかなか適当な女性が見つからなかった。しかし、ついに、高志(越の国。注*参照)に大変な美女(沼河比売)がいると聞き及ぶ。彼は早速、婚(よばい)に出かける。

そのことに対して、須勢理比売は嫉妬したしたと言うが、それが尋常ではなかった。彼女自身子供ができないこともあり、非常に辛い立場だったのから、相当ショックだったのだろう。でも、八千矛神からすれば、彼女は異母妹。遺伝学的には、子供ができなくて良かったのかも。

そのような複雑な心理描写を『古事記』で読み取れる。ここでは、具体的に記さないが、彼女が男の浮気を散々詰っている様子が伺える。また彼の詫びる歌も残っており興味深い。

彼は切実に子供が欲しかったのだろう。しかし、女性としては、わかっていても許せない。そして、女性の嫉妬には、哀しみが含まれる。当時の女性の気持ちを表しているのだろう。これは現代でも、通用する話だろう。男女問題は、時代を経ても変らない。

続く

注* 越の国について

ちなみに越の国とは、現在では、富山、石川、新潟辺りを指すのであろうが、当時は、もう少し範囲が広く、山陰地方も含まれている。

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