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2007年2月24日 (土)

謡曲『殺生石』 (下)

『殺生石』のあらすじは次の通りである。例によって、一応、流風のコメント付き。

①当時、泉渓寺住職だった玄翁和尚が、都へ上る途中、下野国(栃木県)那須野ノ原に来た時、ある石の上で、鳥の落ちることを見つけ、不審に思って、近づいてみようとする。

現象面から、真実を把握しようとすることは大切だが、、、。この辺の温泉には、まだ行ったことがない。今でもガスが出ているらしい。

②すると、一人の里にしては妖艶な女が現れ、殺生石という人を害する怖ろしい石だから近寄るなと注意する。

妖艶な女は九尾の狐であるという設定。実際、玄翁和尚は、人々から言い伝えとして、色々忠告を受けていたのだろう。原因不明を、九尾の狐にしてしまう当時の地元の人たちの気持ちもわからぬでもない。

③その謂れを尋ねると、女は、次のように語る。昔、鳥羽院に仕えていた才色兼備の玉藻ノ前は、帝もお気に入りであった。しかし、実は帝を悩ます化生の者で、帝を悩ますために近づいたのだった。

玉藻ノ前については、以前ブログで触れたので、ここでは記さない。

④しかし、阿部泰成に、その正体を見破られ隠れ逃げたが、三浦介・上総の介に、この野で殺され、その執心が石になったことを語り、自分がその石の魂だと明かし、夜になれば、懺悔のため姿を現すと言い残し、石の中に消える。

人の魂は石に籠るという。お墓もそういう意味があると思う。だから「魂抜き」しないお墓を粗末に扱ってはいけない。お墓を倒す馬鹿がいたが、天罰が下るだろう。考え方によっては、地球上は無縁仏で覆われている。多くの土や石を邪険に扱ってはいけない。

④玄翁和尚は、能力から玉藻ノ前について話を聞き、殺生石に向かって、花を手向け、焼香し、仏事をなして引導を渡し、供養する。悪魔を追い払う魔呪品(実は、この秘法は師の僧から盗み聞きしたと伝えられる。そのため、後日、破門されている)というお経を唱えながら、大きな金槌で打ち砕くと、石が割れ、中から野干が現れる。

仏教的視点と思う。説法して、魂を抜いたということだろう。科学的な裏づけは当時は理解していないだろうから、こういう解決法しか見つからない。ただ石を細かく砕いたので、ガス穴を一時的に塞いだかもしれない。

⑤そして、国を滅ぼそうと、玉藻ノ前となり、帝に近づいたが、調伏され、この野で狩り出されて射殺され、その後は、石となり人を殺してきたことを語り、有難い供養を受けたので、悪事はもうしないと消え失せる。

よくあるパターンで終了。やり方がどうであれ、気持ちの悪いことが収まれば、万事オーケー。

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