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2007年2月 2日 (金)

新酒の季節と福の神

新酒が酒造会社から販売される季節になってきた。流風は、お酒はそれほど飲めないが、百薬の長ということで、最近は少しだけ嗜むようにしている。でも、酒飲みの方からすると、飲めない方に近いが。

人間、古今東西、酒で失敗することが多い。しかし、流風は、酒を飲ませた方が面白いと若い頃、言われたものだ。どうしても地が出るから。酒は本性をあぶりだす怖いものだ。流風なんて若い頃、暴言吐きまくり(笑)。

ただ酒席で暴言を吐いて降格させられた事件を読んだ時は背筋が寒くなった。流風も、それもあって出世できなかったのかも(苦笑)。しかし、ちょっとやり過ぎではないか。詳しいことはわからないが、酒席での行いであっても、人間の許容度はそれほどまでに低くなっているのだろうか。まあ、部長職の人が、そういう酒乱でも困るけど。

ところで狂言は、お酒を題材にした作品が多い。それは笑いのネタにしやすいのだろう。もちろん、教訓的ではあるけど、それほど深刻な表現はしていない。さらりと流して、笑いを誘って楽しめるものだ。皆、似たような経験があり、笑いを誘いやすい。本当は、深い教訓が隠されているのだけど。

酒にまつわる狂言で、一番有名なのは、小学生も知っている「棒縛」だろう。その他にも、「悪太郎」「舟渡聟」「因幡堂」「伯母ヶ酒」「樋の酒」「木六駄」「寝音曲」「千鳥」「素袍落」「福の神」などがあるらしい。残念ながら、全ては鑑賞したことがない。

今回は、時期に合わせて、めでたい「福の神」を取り上げてみよう。子供の頃に、鑑賞した記憶がかすかにあるが、間違っているかもしれない。高笑いする(大国主命を髣髴とさせる)福の神が酒を飲んで更に愉快になる狂言である。めでたい狂言の一つとされる。

あらすじは、例によって、若干茶化しながら、次のようだ。

一、場所は出雲大社に、年籠り(*参照)に出かけた二人の者が、富貴を祈願して、「福は内、福は内」(*参照)と持参した豆を蒔くと、幕内から、明るい声で福の神が登場する。

出雲大社はいいところだ。昔、行ったことがある。伊勢神宮とはまた違った趣がある。もちろん、縁結びを願ってだが、そういうと、参った後、しばらく女性との接触が増えたような気がする(笑)。結果にはつながらなかったけど。

そのように普通、縁結びを祈願するが、富貴も祈願するんだ。それに大晦日に豆を蒔くということは、流風は知らない。大晦日に厄除け祈願ということで、江戸時代は豆まきしていたようだ。

二、福の神は、二人の参詣を喜ぶ。そこで、この二人が、「富貴になるようにするには、どのようにすればいいか」を尋ねる。そうすると、福の神は「それには、まず種銭が必要だ」という。二人が、「でも、お金がないから、お願いに来たのではないか」と言う。そうすると、福の神か、「いやいや、そういう意味ではない。心の種銭が必要だということを言っているのだ。例えば、正直に生きるとか、親孝行をするとかが大切なのだ」と諭しつつ、お神酒を所望する。

福の神は、まるで酒好きの親戚のお爺さんみたいですな。教訓話を子供時代にうるさく言われるが、世間のことはよくわからないので、正直、訳がわからないこともある。後年、その意味がわかるのは、大体お爺さんが亡くなってから。処世の意味がわかるには時間がかかる。富貴になるのも同じなのだろう。心がけが良くなくては、本当の富貴にはなれない。

三、そして段々酔ってきた福の神は、お神酒の謂われを説き、機嫌よく謡い舞う。

確かに、酒=おみき=お神酒とある。神様と酒は切り離せない。だけど、本来は、供える方が、お神酒を頂いて、酔って神さんと同様の境地になるものでしょう。それを神さんの方が酔って、どうするんだ、と思わぬでもない。それとも、神さんは酔うと人間に近づくのだろうか。何か違う方向に行くような感じがするんだけど。

四、たくさんお神酒や供え物を供えるようにと謡い、高らかに笑って終わる。

おいおい、そんなに供え物を要求するとは。神さんのイメージ悪くなるよ。でも、ものをもらって笑顔のない人は少ない。神様も同様のようだ。最近は、お神酒やお供え物よりお金のほうが喜ばれそうだが。

この狂言は、基本的には、「笑う門には福来たる」という意味のようだ。まあ、お酒が入ると、皆、気が大きくなりますけど。それでも笑いがあったほうが、周囲は幸せ。酒は百薬の長とは云うが、そういう意味もあるのかもしれない。それでは、今年も、新酒を少し頂くとしよう。福の神の教えを噛みしめつつ。飲んだら忘れてしまうけど。

* 年籠り(としこもり)とは

大晦日の夜から元日の朝にかけて、神社仏閣に参篭すること

* 「福は内、福は内」について

流派によって違うらしい。普通の「福は内、鬼は外」というものもある。

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