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2007年2月 5日 (月)

芸術家の研鑽と謡曲『絃上』(上)

芸術にしろ、人生にしろ、完成というものはないのかもしれない。「完成した」と思った時点で、それは退化が始まっているとも考えられる。芸の道は厳しく、また人生もそのようなのだろう。

そういうことをテーマにしたと考えられる謡曲に『絃上』(げんじょう。流派により、けんじょう)というものがある。まさに芸術家に対する警鐘でもあるように感じられるものだ。

この謡曲は琵琶を題材にしている。当時、唐からの琵琶の名器としては、絃上、獅子丸、青山(せいざん)の三面と云われていた。しかし、獅子丸は、途中で遭難し、二面のみ日本に着いた。絃上も戦争で消失したという。

琵琶の名手・藤原師長が主人公だ。当時、文化の振興をされた村上天皇と安子皇后も登場される。日本三大嫉妬婦人で掲げた安子皇后は、梨壷女御となっている。でも、安子皇后の嫉妬の場面はない。そういう話ではないから。

村上天皇は、歌壇の庇護者であり、楽器にも精通し、文化の向上に寄与されたことは間違いなさそうだ。この謡曲は、国威宣揚を意図して作られた曲というが、純粋に、芸術を学ぶ者たちへの戒めとして受けてもいいのではないか。

なお、藤原師長が名器・獅子丸を埋めたと云われる琵琶塚が、須磨の村上帝社にある。師長が、実際に何を埋めたのか。獅子丸に代わる何かを埋めたのかもしれない。しかし、現在は、山陽電鉄本線の線路により、分断されており、その面影はない。線路の北側に琵琶塚碑があるだけだ。残念なことだ。

場所は、山陽電鉄須磨駅から沿線沿い歩けば、すぐ見つかる。JR須磨駅から山陽沿線に歩いても、5分ほどだ。静かで、誰も参拝する様子はないが、きちんと祀られている。音楽関係の方々は、是非参ってもらいたいものだ。何かひらめくかもしれない。

なお、あらすじは、芸術家の研鑽と謡曲『絃上』(下)にて示そう。

*今回から、あらすじはわかっているので余計なことだという方のために、別記することとしました。だから、ご存知の方は、芸術家の研鑽と謡曲『絃上』(下)は読み飛ばしてください。

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