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2007年4月 3日 (火)

近所の名医の記憶

子供の頃、近所のおばさんたちから評判のいい医師がいた。彼女等が言うには、「あの先生は、ちんくしゃやけど、評判ええで」というのを何回も耳にした。

「ちんくしゃ」というのは余計である。女性というのは、いつも一言多い。男なら、「名医らしい」で終わる所が、いろいろな形容詞がつく。イメージはわかりやすいが(笑)。

確か内科だったが、子供も診ておられた。流風も何回か母親に連れられて診てもらったことがある。たくさんの患者さんが待たれており、初診を除けば、なかなか順番が回ってこなかった。

診察室に入ると、消毒液の臭いが蔓延していた。そして先生は確かに男前ではなかったが、やさしそうな先生だった。その先生は、現在の病院のように検査するわけではないが、とにかく口頭で尋ねたり、触診が多かった。思い出せる限り、その診察風景を記しておこう。

 ①まず、患者に状態を聞く。子供であっても同じ。付き添いには、後で聞く。

 ②患者を歩かせて、身体全体の動きを見る。ふらふらしないか見る。

 ③顔全体をじっと見て観察する。

 ④脈拍を取る。

 ⑤目の状態を見る。前や左右に手をかざしながら、「何本に見える」か、患者に確認する。

 ⑥耳が聞こえにくいか聞く。

 ⑦口をあけさせ、咽喉の状態、舌の状態を見る。

 ⑧体温を測るように看護師に指示する。

 ⑨触診をする

    ・ 頭と首の状態を触診する

    ・ 肩が凝っていないか見る。

    ・ 手の裏表を触る。

    ・ 聴診器で、胸と背中の音を聴く。

    ・ 手を胸と背中にあてて、指でとんとんと叩く。

    ・ 身体を寝台に横たえさせて、腹を押さえて、腹圧を見て、痛くないかと尋ねる。

    ・ すねを叩いて反応を見る。

    ・ 足裏を見る。 

 ⑩触診でかなり問題があるという場合だけ、レントゲン写真などの検査を行う。

以上のように、検査はあまりなかった。また最近のように、患者に診察前に症状を書かせる様なことはなく、必ず本人の口から直接聞いていた。

そして大体、⑨の診察で終了し、消毒液で手を洗い、病名を告げ、今後の生活について諸注意を与え、必要な場合は薬を出すという手順だった。それで、ほとんど治っていた。名医という評判は高く、遠くからも患者がやって来ている様だった。

現代の診察とは時代も違うので、比べられないが、触診をされると、何か信頼感が増していたような気がする。それが現代の言葉に直せば、触診によるコミュニケーションが十分であったと言えるのかもしれない。患者と医師の信頼感は、案外、こういうところから生まれるのかもしれない。

   

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