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2007年10月25日 (木)

防衛官僚の不正

防衛官僚の不正が明らかになっているようだが、防衛省は問題の多い省のようである。だいたい、日本の特殊事情を考えれば、防衛省にするのには無理があった。こういう諸問題とシビリアン・コントロールの関係をどうするのか明確にせずに、拙速に省に格上げしてしまった安倍前政権の罪は大きい。

さて、それでは今回の事件を報道で見える範囲で整理してみよう。

一、シビリアンコントロールの問題

業者と癒着していたことや、大臣を無視して艦船の油供給量の嘘の報告をしていたことは、重大な作為的意図が感じられる。個人の利権と官庁の利権。シビリアン・コントロールの危機だ。防衛省の幹部達は、国家における防衛省の位置づけ、世界における防衛省の位置づけをわかっているのだろうか。役割の重大性に気づいていないのではないか。

軍事オタクと省の利権優先主義者の組み合わせ。軍事をゲームのように考える人々と軍事などどうでもよく、省の利権拡大や私服を肥やすことに熱心な上層部だけのように見える。大変嘆かわしい。文民統制について、国家と防衛省の関係を再度細部にわたって検証すべきだろう。

二、軍需利権とシビリアンコントロール

シビリアン・コントロールを乱す軍需利権。テロ特措法は、軍需利権が絡んでいることは間違いない。厳しい運営の仕組みを作らないと今後も問題は起こりうる。そして国家を危くする腐敗に対しては厳罰で処するべし。これは他の官庁とは別体系で処断する仕組みが必要だ。昔で言う軍法裁判も検討の余地あり。死刑も検討すべきだろう。

三、自衛隊が動くことは公共投資

国土防衛には、他国からの侵略に備える意味と、自然災害の援助活動がある。これは両方とも必要だ。自衛隊の存在価値はそこにある。まず自国と自国民を守ることに最大限努力して欲しい。自衛隊の活動は、公共投資と見てよいだろう。ただ他国にいる自国民の保護に、自衛隊を使うというのは早計に過ぎる。それは外交問題だ。

四、自衛隊が海外に展開することは、国際的公共投資である。

海外への展開は、武器・弾薬・燃料の消費という隠れ国際的公共投資である。そして、これは海外消費であり、経済効果はあまり期待できない。せいぜい軍需産業及び燃料・食糧関係が潤う。しかし、これは、深く考えれば、むしろ財政を悪化させる要因になりうる。日本全体にとって、何のメリットもない。こういうものは、一旦、手をつけると拡大する傾向があるのだ。但し、国際的な自然災害に対する支援は人道的見地から引き続き求められる。

五、海外軍需産業との癒着

海外の死の商人は巧みに取り込んでくる。今回の汚職の元となっている企業は彼らの代理店。脇の甘い官僚たちの悲劇だ。一人で行動することがいかに危いことか。公務員の行動原理を忘れた情けなさ。もちろん、営々と続いてきた防衛省(防衛庁)の体質に問題がある。政治家が関与してきたことも疑いのないことだ。

六、予算確保のためのテロ特措法

テロ特措法は、純粋に海外に貢献しようとするものではないだろう。表向きは米国支援だが、結局、防衛省の予算枠確保のために使われているに過ぎない。財政厳しい折に、予算を獲得しようとする官僚的発想だったようだ。自民党は政治献金の多さから、この法律にこだわっている(*注)。防衛省に無駄が多いのが、今回判明した。

七、トップダウン組織の悲劇

官僚制度はトップダウン組織の典型といえる。しかし、そのトップをチェックする機関が実質存在しない。よって、自省(自制も含めて)するしかないが、周囲は持ち上げて甘やかす。まるで田舎出身の若い芸能人が周囲からおだてられ、傲慢になり自らを失うのと似ている。学校エリートの陥りやすい罠に嵌るということが延々と続いているということだろう。

*注

なお、民主党の小沢代表も、かの企業から政治献金を受け取っていたようだ。彼は多分に自民党的体質を残している。彼は政権を獲得するかもしれないが、真の民主党は、それ以後の人々に委ねられることになるだろう。

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