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2007年11月25日 (日)

ドラマ『海峡』とあの時代雑感

ドラマ『海峡』を三回共に視聴した。ドラマを通しで鑑賞するのは、何年ぶりだろう。とりとめもなく、雑感を記してみよう。

現代史をベースとしながら、異なる国の引き裂かれた男女の姿を描いていた。全体としては、よく描かれている方だろう。ただ、短時間に詰め込みすぎなので、少し、端折った感はある。流風より上の世代は、わかっても、若い人たちは、わかりにくかったかもしれない。

そして、これは、どこかで観た風景だ。ああ、そうか、映画『ひまわり』だ。30年以上前に公開された、この映画は、音楽の方は、ヘンリー・マンシーニが担当し、今でも有名だが、映画の方は、若い方は知らないかもしれない。あのグラマーなソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが主人公だった。設定は異なるが、戦争で引き裂かれた男女を描いていた。

さて、話を、このドラマに戻すと、それにしても、あの時代をよく現していたと思う。流風は、戦後世代なので、知らないことも多いが、両親からの伝聞と一致する。伝聞と自分が生きてきた時代をトレースしている感覚である。よく食事時、よく明治以後の歴史のことも含めて、いろいろ話していたことを思い出す。そして、子供は聞いていないと思うのか、いろんな噂話をよくしていた。

ところで、両親は、戦後の焼け野原では、日本の復興は不可能と思っていたようだ。実際、ドラマでも描かれていたように、戦後、全体的には、社会は不安定で、閉塞感が漂い、人々の表情は暗く、未来を描けないでいた。

戦後、公職追放で、失職し、生活が大変な人々や、戦前、爵位を受けていた方々は没落し、逼塞のため、多くの持ち物を二束三文で売っていたことも聞いた。また農地解放で、地主は没落し、小作人が力を持ち、立場が逆になった。

また食料で強い立場にある農民は、多くの人が買い出しに行くと、皆が皆ではないが、威張って、態度も横柄だったという。そういう人間の裏面を多く見せられたとも聞いた。立場が変われば、人は変る。

そんな雰囲気が劇的に変わったのは、昭和25年に始まった朝鮮戦争だ。米国は日本への態度を変更し、日本をアジアでの重要な戦略的基地と位置づけ始めた。それに伴い、米軍から軍需が発生し、景気が拡大する。人不足で、田舎から、人を調達する。その結果、この戦争を起爆剤に、日本経済は、この後、ひたすら成長する。

その一方、朝鮮半島は統一した形で独立できずに、大国に分割される。大国に統一の独立意思が弱いと判断され、分割されるのだ。統一の旗頭がいず、そういう組織もなかったことが災いしたと云われる。その後、大国の思惑のままに、朝鮮戦争を引き起こし、停戦するものの、分割されたまま現在に至っている。

そういう状況下、二人の異国の男女が時代に翻弄される。似たようなことは、多くあっだろう。両親の噂話にも、駆け落ちとかのあったような気がする。ヒロインのように、昔の女学校を出たお嬢さん達は、戦前の家社会で、自分の主張を貫くのは難しいと思えるのだが、凛としたものを多く持っていた(*注)。

同様に、ドラマに描かれている、いい家のお嬢さんで、誠実で、一途で泣き虫で、喜怒哀楽が激しく、鉄砲玉のような女性は当時でも珍しかったから、ドラマになったのかもしれない。しかし、当時の女学校を出たような女性は、自分というものを現代の女性よりもう少し矜持のようなものを強く持っていたと云う。それが幸せかどうかはわからない。だがドラマで語っていたように、不幸さえも、共に歩む覚悟が出来ていれば、それでいいのだろう。

しかし、戦争は、個人の思いなど関係なく、多くの関係を引き裂く。現代の若い男女は、愛だ、恋だと騒ぐが、そういうことを可能にしている時代に感謝すべきだろう。そして、少し油断をすれば、そういうものは、あっという間に吹っ飛ぶ。歴史から、男女のあり方を学ぶべきかもしれない。そう考えれば、時代に無関心ではいられないはずだ。

*注

祖父などは、「女が知識を持つと碌なことがない」と明治生まれの人らしく、よくぼやいていた。現代でそういうことを言えば、非難轟々だろうけど、彼としては、本音に近かったと思う。

*追記

ヒロインが、スッピンで泣き叫ぶ場面があったが、何かとよくにているなあ、と思った。ああそうだ、能面だ。能面は、人間の表情の一瞬を忠実に再現しているのだなあ、と今更ながら感心した。でも、ヒロインの長谷川京子さんの百面相には、少し感心した。女優という職業とはいえ、皺が増えるだろうなあ(笑)。

*追記

NHKでアンコールということで再放送している。平成20年3月26日より連続3日間。やはり反響があったのだろう。確かに、考えさせられる内容ではある。

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