夏の困った客
まるで雷雨のような大雨かと思えば、梅雨のような雨が続き、関西にも蒸し暑さが戻ってきた。しかし、その一方で、夏の終わりを告げる、ツクツクボウシが鳴きはじめた。まもなく秋を迎えるのだろうが、残暑はいつまで続くのだろうか。
ところで、流風は、夏の来客は苦手だ。夏は好きだけれども、来客は、暑苦しい。親戚の人で、流風家に連なる人では、割と珍しくおしゃべりな叔母さんがいた。彼女は話題が豊富なのだろうが、どうでもいいことが延々と続くで、両親も、その扱いに苦慮していた。もちろん、楽しい人には違いないのだが、それも程度問題。
まだ、冬のような寒い時期には、なかなか賑やかに盛り上げてくれるので、それはそれでいいのだが、夏になると、それは苦痛になる。早く帰ってくれないかと、サインを送っても、わかっているのか、わかっていないのか、軽く無視されて、とうとう父が痺れを切らして、もう帰ってくれないかと、言っていた。
流風も、確かに困った叔母さんだな、と思ったこともあるが、話題が豊富でいろいろ教えてもらったので、親戚の人の中では印象に残る女性でもある。まあ、いろいろプレゼントも頂いたし(笑)。
さて、漢詩にも、程暁による『熱客を嘲る』(*参考参照)と題したものがある。暑い盛りは、お互い訪問しないものなのに、気の利かない連中は、夏に訪問してくる、と批判的に詩を作っている。今は、扇風機もあるし、クーラーもある。しかし、当時は、せいぜい団扇ぐらいだろう。その気持ちが手に取るようにわかる。現代でも、扇風機やクーラーがあっても、来客の熱気は、暑くなる。夏の訪問は、避けたいものだと、夏の終わりに、つくずく思う。
*参考 程暁 『熱客を嘲る』
平生 三伏の時、道路 行く車なし。
門を閉ざし、暑を避けて臥す。
出入 相過(よぎ)らず。
今の世の褦(だい)●(たい)子、 (●は衤に戴)
熱さを触して人の家に到る。
主人 客の来たるを聞き、
顰蹙すれども 此れを奈何せん。
当に起ち行き去るべしと謂(おも)いしに、
安坐して 正に●(はん)跨(こ)す。 (●は、足ヘンに半)
説く所 一つとして急なるなきに、
●(とう)唅(かん) 一に何ぞ多き。 (●は、口ヘンに沓)
疲れ倦みて これに向かうこと久しく、
甫(はじ)めて問う 君 極(つか)れし那(や)と。
扇を揺がせば 髀(ひ)中疾(いた)く、
流るる汗は 正に滂沱たり。
小事為りと謂う莫かれ、
亦た是れ一大瑕(か)なり。
戒めを云う 諸高明に、
熱行は宜しく呵(とが)め見るべし。
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