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2008年9月23日 (火)

米金融混乱後の日本経済雑感

米国の金融破綻は、日本の経済に大きく影響するだろう。破綻の影響は軽微というのは楽観的過ぎる。そういうことを言う人には、政治を行って欲しくない。以下雑感的に箇条書きで記してみよう。

一、時間差はあっても、金融機関に影響を与えるだろう。

リーマン・ブラザーズの日本の金融機関に与える影響は、「ハチが刺した程度」と表現した政府首脳がいたが、そんなに甘くないだろう。これは序章で、今後、ショッキングな事態になる可能性が高い。米国経済は暗闇の迷路に入ったも同然だ。長期的に米国経済は立ち直れない可能性がある。それが世界経済に、相当響いていく。

ところが、今がチャンスとばかり、危機に陥った米国金融機関に投資するメガバンクもあるが、早すぎる感じだ。彼らの資産を精査するには、時間がかかるだろうし、リストラさせて、十分な価値があると判明してからでも遅くないはずだ。バタバタ支援を表明するのもおかしなものだ。投資が無駄になる可能性もある。もちろん、裏事情があると推定されるが。

今後、日本の金融界も、相当マイナスの影響を受けることは避けられない。場合によっては、日本金融界の解体・再編もありうると思っていた方がいいのではないか。特に地方の銀行は破綻するところも出てくるだろう。

二、ドル下落、円高へ。

いずれにせよ、ドルは下落する。大体、今まで過剰に評価されていた。問題は下落の程度だが、米国の政策にもよるが、近い将来、1ドル=70円程度は、十分にありうる。

過去に海外投資している投資家は大きく傷つくだろう。また外国為替や投資信託に投資している人々も、大幅に元本割れになるだろう。まあ、外国為替に関しては、個人は、その国に用事がなければ、投資してはいけない。

また海外旅行にはチャンスかもしれないが、世界経済悪化に伴い、治安が悪化する国々も増えよう。旅行先には十分調査が必要だ。団体旅行でも安心はできない。

三、投資家は機関投資家、個人投資家共に、厳しい状態が続くだろう。

株価は、数年間低迷するだろう。日経平均が1万円を割るのも時間の問題だ。上げ下げしながら、下げていくだろう。急激な上げや、急激な下げは、相場が傷んでいる証拠だ。そして、時価会計である以上、多くの資産は毀損する。

既に、投資評価損を出している個人投資家は多いはず。所得の高い人や投資家は、その多くが収入減になる可能性が高い。マネーの売買で儲けていた人たちは、市場の暴落で、ある意味、首根っこを押さえられた状態になりつつある。

その結果、消費が低迷する可能性が高い。但し、今がチャンスとばかり追加投資しても損する可能性は高い。追加投資などはせず、じっとしておいた方がいいだろう。

またドルが安くなり、結果的に円高が続けば、海外投資家は、一流株式には投資残高を増やす可能性はある。

四、中低所得者への影響

中低所得者が、あまり影響は受けないかというと微妙だ。彼らは投資余力を持たないので、投資による損害は受けないだろうが、国内経済の悪化が彼らに与える可能性は高くなった。

例えば、リーマン・ブラザーズの発行した円建て外債が債務不履行になる可能性があるからだ。これらを買っているのは地方銀行を中心に、大手銀行、証券会社という。特に地方銀行がこの不良債権を抱え込むことになれば、当然、地方の中小企業への融資にも影響が出てくるだろう。

そうなれば、融資が回らなくなり、中小企業の破綻も予測される。もし、それを中低所得者に皺寄せさせるなら、社会問題になるだろう。そうなれば、地方に失業者が出る可能性もある。それに低所得者の所得は限界に来ている。

ただ、中低所得者にも若干の朗報があるかもしれない。円高になる可能性が高いし、原油価格も当面下落を続けるだろう。そうなれば、タイムラグはあるものの、輸入物価は落ち着くと考えられる。それに伴い、国内物価は安定または下落するだろう。しかし、所得低下での物価安定は、消費を刺激しない。そんなところに、定額減税をしても全て貯蓄に回るだろう。

五、米金融破綻前に計画された補正予算は、中身を見直す必要があるだろう。

選挙前に補正予算を通すと言うが、これは問題が多い。状況が変わったのだから、中身は当然見直しされて当然だ。必要のない政策に、お金をばら撒く必要はない。必要な政策が変わったのだから。

自民党総裁選も終わり、総選挙のムードが漂っているが、補正予算の中身を見直ししてから、選挙に臨むべきだろう。自民党政権は、吉田に始まり(正確には違うが)、皮肉にも麻生で終わる可能性も高い。それまでに最後のご奉公をすべきだろう。

六、以上のような状態で、果たして景気対策というのは何なのか。

多分必要なのは、中小企業に金融が回るような政策だろう。そして求められるのは、国の補助金等のばら撒きではなく、市場が動く政策だろう。すなわち知恵の提供なのだ。

例えば、脱炭素政策もいいし、省エネ政策の更なる推進もいいだろう。また新住宅政策の立案も求められる。東京リスクは相当積み上がっているから、都会からの人口分散政策も有効だろう(但し、これらの政策は景気の即効性はない。政治家の方々は、即効性を求めすぎるが、それは政治ではない)。また中小企業の提携・合併を意識した全国レベルでの広域連携の推進も求められる。

七、規制緩和か、新たな規制か

規制緩和を依然としてまだ騒ぐ人たちも多いが、規制も規制緩和も市場が動かなくてはならない。これらは、市場を動かす手段なのだ。そして規制も規制緩和も永遠ではないことを知るべきだろう。

時代が変われば、規制緩和も必要だが、同時に新たな規制も必要である。いかに時代に対応するかが問われている。機械的に、緩和したり規制しても、国民の利益にはならない。

八、税制の見直し

ブログの別項で述べているので、ここで改めて記さないが、時代の流れを、中長期で計画しながら、社会の雰囲気を察して、短期的に柔軟な運用をしていく当局の姿勢が求められる。しかし、戦略と戦術をごちゃまぜしてはならない。そして具体的実践のためには、それを中長期に国民の理解を得るべく、情報を流しながら、現実に処していくということだろう。

まず、所得税の累進課税の強化や各種控除の引き下げ、財産税の見直し(控除の引き下げ)が求められる。消費税を上げるのはその後だ。また消費税は本来、景気が上がってから上げるべきだが、世界経済の状況から景気を上げることは、いかなる政策を打っても可能性は低い。経済成長による財政再建の道は閉ざされたと判断すべきだろう。

しかし、財政再建が滞ると、将来、国が身動きできなくなる。そうなると、現在考えられるより、増税になる可能性がある。時に、政府は、将来のシナリオを明示して、消費税増税を国民に頭を下げて協力を求める時がくるかもしれない。

それには、民主党が主張するように、社会保障の分野で国民に安心感を持たせるための十分な説明を行い納得を得て、国の無駄な仕組みをなくし、官僚の天下りを制限し、国家公務員の大幅な人件費カットすることが前提になる。これは自民党政権ではできないかもしれない。

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