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2008年10月 7日 (火)

社会保障は雇用問題

社会保障の問題が話題になって久しい。最近は、厚生労働省の組織・運営事態に問題があると、大手新聞も叫び始めた。確かに、厚生労働省の、組織疲労と機能不全は、問題を大きくしているかもしれない。

しかし、根本問題は、社会保障は雇用問題ということに尽きるのではないか。まず、ここにスポットを当てて、どう解決するかを考えなくてはならない。かつて雇用の確保は、国の命題だった。それがバブル崩壊により、それを維持できなくなったのに、社会保障の仕組みは従前通りという矛盾が生じていることが、まず指摘できる。

それでは、雇用にどのような問題が生じているのか。まず、公共投資の減少に伴い、当然、雇用量は減っている。その減少を補う政策が取られているかといえば、疑問だろう。民間で、それらの労働者を雇用する仕事は増えていないだろう。

次に電子化の影響がある。まず事務職の価値が下がった。企業は一番にリストラし、外部化し、正規雇用を減らした。そのために、非正規社員が増え、所得を減らしている。さらにネット化により、流通のカット化が進められ、その人員の余剰が労働市場に溢れている。彼らの雇用及び所得をアップさせる職種転換教育制度が求められる。

次に、労働需給のアンバランスが指摘される。経済のサービス化に伴い、都市に偏った産業に雇用が集中し、地域の産業(農林水産業など)に人を回す政策が取られていない。それは都市に人が集中することを避ける人為的な政策が求められる。

また伝統芸能や伝統工芸を引き継ぐ職人の養成も、十分に為されていない。これは現在の学校教育の仕組みに問題がある。中学校を卒業すれば、そのような人材を育てる専門学校の普及が望まれる。宝塚専門学校がいい例だ。

そのためには、伝統芸能や伝統工芸を魅力的に見せる工夫が求められる。これらは日本の価値を高める重要な仕事である。伝統の継承保護基金などを設立して、社会的にバックアップする必要がある。

更にもう一つは、男女雇用均等法の施行により、女性が社会進出してきたが、雇用は増えていないのに、女性労働者だけ増えたものだから、労働需給のバランスが取れなくなったことが大きい。

結局、一人当たりの所得が減り、共稼ぎしないと生活の質を維持できなくなっている。所得の低い人からは、税金はなかなか取れない。そういう人が増えすぎて、自業自得だが、国を困難に追いやっている。

以上のことを鑑みると、言えることは、国は、国全体としての仕事量を倍増させるか、共稼ぎを止めさせて(女性の雇用を減らせという意味ではない。男女どちらかが働きに出ればいい)、仕事量と労働者の総量をバランスさせることが求められる。

すなわち、雇用を確保するには、それに相応しい仕事量を確保しないといけないことになる。そのためには、新産業の育成も必要だろうし、産業の仕組み全体を日本国内だけに捉われず、世界でどういう位置づけで雇用を確保するか考えなくてはならない。

ただ海外に進出している大企業の経営者の発言を見ていると、国内の雇用を確保する意識は、昔の経営者と比べて薄い。海外に進出すると共に、国内の雇用を増やす考え方がなくてはならない。経営者の意識転換が求められる。そして国もそのように仕向ける必要がある。

そうすれば、国は確実に税金を取ることができるし、社会保障も低所得の非正規社員(*注1)を規制すれば、一応維持できることになる(*注2)。いずれにせよ、国は、もう一度原点に戻り、雇用の確保を国の命題とすべきだろう。そうすれば、社会保障問題にも光が見えてくるだろう。

*注1

現在問題になっている派遣社員も、特別な能力のある仕事で高給の仕事は制限されるべきでないだろう。問題なのは、あくまでも所得が低所得で不安定なものは制限すべきであろう。

*注2 

但し、人口構成アンバランスによる社会保障体制の是正は求められる。是非はあるが、後期高齢者医療制度のような制度導入もその一つであろう。消費税の増税も、全額がその充実に向けられるのなら、国民から賛意は取り付けることが可能だろう。

*平成27年6月26日追記

消費税増税分が、社会保障に全額回されない政府のやり方に、国民の不信感は増している。

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