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2008年11月16日 (日)

自分より優れた部下

中国のある話に、次のようなものがある。楚の国の荘王の夫人だった樊姫(はんき)という人がいた。ある日、荘王が帰ってくるのが遅かったので、その理由を尋ねると、優れた大臣と話し込んで遅くなったという。その大臣名を問うと、虞丘子だというので、樊姫は笑った。

不審に思った王がその理由を尋ねると、「彼は大臣になって十数年になるのに、まだ一人の賢人も薦めていない。これはどういうことでしょう。賢人がいるのに薦めないのは不忠であり、賢人がわからないのは不智です。彼が優れた大臣とはどうして言えましょう」と。

俗に、雌鳥が鳴く家は栄えないと言うけれど、樊姫の指摘は的を得ているだろう。ところで、自分より優れた部下が出てきた時、あなたはどのように処していますか。上司(管理者)の対応としては、次のようなことが考えられるだろうか。

一、部下の有能さを認め、さらにもう一段能力を高めるべく環境を整える。

部下が、飼い殺しにならないよう、その持てる能力をフルに発揮できるような環境を整え、そのことにより、ビジネスチャンスを拡大させる。更に、次の段階では、広い視野を持つように指導し、自分の地位を任せるか、あるいは飛び越えられるような配慮をする。つまり、そこそこ自立できる目途が立てば、上司に人材の紹介をして、全社的な活用を促す。

二、部下の有能さは認め、能力を上げるように指導はするが、あくまでも、現体制・組織内での人材育成に留める。

これはいわゆる上司の保身だ。自らの出世を優先し、有能な部下は、そのために使う。もちろん、自分が出世すれば、自分の現在の地位を渡す用意はあるが、飛び越えないように注意する。よって、優れた部下の存在は、トップには、情報として積極的には上げない。いわゆる、年功序列の徹底だ。

三、部下の能力に嫉妬して、能力が発揮できないように追いつめる。あるいは、能力発揮の機会を与えない。

どうでもいい仕事に従事させて、本人がやる気を失うようにもっていく。結局、部下は辞めていくことになる。上司の地位は、依然として上がることはないが、部下の脅威からは逃れることができる。トップには、部下が辞めたことを「最近の若い者は」とか言って、部下のだらしなさで言い繕う。

さて、現代の上司はどの立場を取られているのだろう。それでは、最初に示した物語の結末を紹介しておこう。

荘王は、翌日政庁に出向くと、かの大臣を呼び出して、樊姫の言ったことを伝えた。そうすると、虞丘子は、樊姫様のおっしゃる通りです、と言い、大臣職をすぐ辞し、優れた人物を推挙した。それが孫叔敖である。彼が大臣になると、荘は富み、強力になり、ついに覇者になった。

*追記

虞丘子の偉い所は、人材をきちんと育成していたことであり、後継者をすぐ指名できるようにしていたこと。そして、後継者が仕事をしやすいように、すぐ大臣を辞め、引退していることだろう。その引き際のよさは、首相を退任しても、議員に留まり、権力を維持しようとする日本の政治家とは大きく異なる。

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