知と不知
『何も知らぬと人生は最も楽しい』(西洋のことわざより)
世の中を渡るには、知識の涵養は必要かもしれない。しかし、人は知識を持てば持つほど不安になるものである。凡そ、学歴が上がるほど、その決断力や行動力は遅れ気味と言われる。よく考えることは大切なことだけれど、考え過ぎて決断が遅れ、行動が遅くなるのだ。
確かに、八方美人的に思考を巡らせば、そのようになるのもわかる。あちら立てれば、こちら立たず、になるし、それぞれの結果に対しては、いつも懐疑が伴う。そのようにして、ずるずる結論を持ち越しにしてしまう。
しかし、この世の中は完全なものはないだろう。それゆえ完全な方策などは存在しない。すべての価値判断は、偏りがある。絶対的な善はない。全ての行いは、ある人にはよく働き、他の人には悪く働く。
そういう割り切りは必要だ。そういうことで闇雲に情報を得れば、かえって混乱するのは間違いない。基本的には、ある切り口を以って、情報を収集し捌くしかない。そのようにして得た情報は、もちろん、偏るので、決断し行動した場合には、必ず、自分の思いとは違う方向に行くこともある。
問題は、いかにそれを早く修正するかということにある。そこでは変な拘りは捨てなければならない。拘れば、苦しくなるだけである。全てをクリアにして、初めから始めればいい。変化するもの、変化しないものを把握して、情報を捌けば、問題はない。
でも、あれやこれやと悩むのもいいが、最初に示したように、何も知らずに過ごせるから、それが一番幸せというのもわかるような気もする。
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