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2008年12月29日 (月)

酒屋と饅頭屋の話題と落語『清正公酒屋』

本日は、非常に寒い。朝、起きるのが辛かった。でも、大掃除もまだ少し残っているし、仕方ない。買い物も多少しなければならない。

ところで、年末とあって、さすがに酒屋は大忙しのようだ。流風も、日本酒を大瓶、中瓶と二種類買い求めた。一つは兵庫県下のある地酒で、もう一つは、灘の銘酒だ。普段は、そんなにお酒は飲まないが、お正月は別だ。生より、燗をして飲むことが多い。

また饅頭屋も、帰省と、帰省帰りのためのお土産ということで、どこもてんてこ舞いの様子だ。最近は、饅頭屋もクリスマス商戦に参入しているので、連続して、忙しい状態が続く。どこに不況感があるのだろうという雰囲気だ。

さて落語に、酒屋と饅頭屋を両方扱ったものがある。それは『清正公酒屋』である。「せいしょうこうざかや」と読む。お題は、酒屋だけだが、饅頭屋も登場する。清正公とは、もちろん加藤清正のこと。

秀吉の家来だった清正は、生涯、秀吉に忠誠を誓ったが、秀吉亡き後の権力闘争で豊臣側が分裂した後、徳川家康にうまくつけこまれ、結局、豊臣政権を崩壊に導いていくことに加担してしまう。それでも、彼は豊臣秀頼に忠誠を尽くすあまり、徳川方から目障りとして、毒饅頭で毒殺されたと云われる。

清正公を尊崇する、ある酒屋が彼の木像を店頭に飾っていた。そういうことから、「清正公酒屋」と呼ばれていた。上戸相手の商売ということで、法華宗の信者でもあった。

そして、その向かいに饅頭屋があった。屋号は「虎屋」と言って、木彫りの虎の看板を屋根に掲げていた。虎屋というと、現在では、羊羹が有名だが、高くて滅多に買うことができない。この虎屋さんの先祖がモデルなのかな。酒が飲めない下戸を相手としており、念仏宗の信者だった。

こういうことで、近所なのに仲が極めて悪かった。それはそうだろう。清正公は、虎退治で有名だし、宗派の違いは、交流を妨げる。それに甘いものと辛いものと正反対のものを扱うからだ。

でも、考えようによっては、酒屋と饅頭屋は、顧客が全く違うわけで、ある意味、棲み分けしているので、本来、関係が悪化するのは、少しおかしい。それに宗派は違うといっても、同じ仏教だから、根は同じだ。清正公と虎にしたって、お互いがあるから、相互の価値が高まる。

こういう対立軸で、物事を見るのは、わかりやすいので、周囲は盛んに囃すが、実際は、もっと違う所で仲が悪かったのだろう。おっと、また脱線してしまった。あらすじに戻すと、ここからはロミオとジュリエットばりのお話だ。

酒屋の一人息子の清七は、水も滴るいい男。町内きっての美男子だった。他方、饅頭屋の一人娘のおなかは、町内きっての小町娘と噂も高い美人だった。この二人が、人目を忍んだ深い仲になる。

清七は親を説得して、一緒にさせてくれと頼むが、親同士仲が悪いから、了解してくれない。おなかの親も、彼女を親戚に預けて、遠ざけてしまう。そうすれば、ますます強まる恋心。二人は思い余って、大川への心中を決意する。

おなかは先に川に飛び込み、清七も飛び込もうとすると、その襟首を捕まえて、押えた者がいた。蛇の目の紋の烏帽子兜で、鎧姿の清正公だった(ように見えた。あるいは亡霊)。清七はびっくりして、「私を助けて頂きますなら、彼女も助けてください」と言うと、「それはまかりならん。俺の敵の饅頭屋の娘だから」とオチ。

毒饅頭の恨みは、いつまでもということだろうか。後世、武者人形の代表型となり、名声を大きくした加藤清正だが、これだけは許せなかったのだろうか。いくら、邪魔になっても、やり方を間違えば、あの世から、一生恨まれることになる。徳川方への怨念があると庶民は感じていたのだろうか。ご用心、ご用心。

でもねえ、清正さん、ちょっと狭量ではないかえ。おなかはお蔭で、どんだとばっちり。でも、この世で愛した記憶で、あの世に行けたことはある面、幸せか。現世での幸せなど、大したことがないものだから。小さいことを喜びと感じることは大切だけれども。

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