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2009年1月 9日 (金)

安田善次郎の蓄財

安田善次郎と言えば、戦前、安田財閥を築いた逸材だが、そのやり方はえげつなかった(「えげつない」という言葉がわからない方は、ネットで調べてください)と言われる。多分、多くの人々に恨まれていただろう。実際、彼の無惨な最後は、それを象徴している。

しかしながら、彼の経営センスは、ある意味、ユダヤ商法に通ずるもので、国際ビジネスでは、有効な考え方かもしれない。但し、このやり方は短期的には通用するが、長期的には、信用されない。彼は、どちらかというと、策士だ。

だが、当時、財閥を築き上げた先人は、皆、そうであったとも言える。一般に、策士は策に溺れるが、彼は商売に関しては、そういうことはなかったようだ。全て計算ずくで、事実、彼の思惑通り、獲得したいものは全て得た。結果的に、人を騙すことになるので、多くの人々に恨まれた。

彼に欠けていたものを強いて挙げれば、それは社会の気持ちを無視したことだろう。自分だけよければ、それでいいという考え方だった。敗者への思いやりにも欠ける。勝ち過ぎるのだ。商売と言う戦争に勝つには、何をやってもいいという考えが、彼の意識の下に横たわっていたことは間違いない。

もちろん、それでも、彼のやり方が全否定されるわけでもない。商売においては、目先が利くことも大切な成功の要因だ。彼は考えたことをすぐに実行したし、即断即決の行動力は大変評価できる。ただ、孫子の兵法は学んでいなかったようだ。百戦百勝が危いということを理解していなかったのではと思われるのは、少し残念だ。

ただ、その彼が晩年、人々に貯蓄の大切さを問いている。まず、貯める決心をして、実行し、継続すれば、誰でも、蓄財できると説く。そのための心構えとしては、次のようなものを示している。若い人には参考になるかもしれない。

まず第一に、とても無理な貯蓄計画をしないこと。

できない計画を立てると、結局、早期に挫折する。まず可能な第一目標を立て、現実的に貯蓄する。貯蓄の芯「タネ銭」をまず貯蓄し、貯蓄の基礎を作る。

第二に、少し貯まっても、誘惑に耐え、使わないこと。

貯蓄に最も大きい障害は、「見栄」だと指摘する。現代は買い物の欲望を刺激してくるが、買う前に、何回も考えるくせをつける。「タネ銭」を流用しないで、地道に、ひたすら大きくしていく。

第三に、一攫千金を狙わない。それはむしろ財産を失う素だ。

うまい投資話などには乗らない。それに運用で増やすと言うのは、簡単ではない。「貯蓄から投資へ」と、政府は、その旗振りをしたが、無責任、この上ない。細かいことを言えば、宝くじなどはナンセンスと言える。そんな無駄遣いをする余裕があるのなら、貯蓄すればいい。出ずるを制することは大切なのだ。

第四に、こつこつと辛抱強く貯蓄すること。

最初の芯(タネ銭)ができれば、後は時間が経つにつれて、雪達磨式に増えていくことを、知るべきだ。それは現在のデフレ時代も変わらない。貯蓄のくせがつけば、次の段階に自動的に進む。まあ、その前に、しっかり働くことが大切だけれど。働いて稼ぐことは、貯蓄の最大の第一歩だと説く。

このように彼の金銭感覚は当たり前と言えばそうだが、鋭い。彼の成功は、その金銭感覚がベースにあったとも言えるかもしれない。まあ、上記の四項目は、簡単なようで、なかなかできないのが、凡人だが、逆に言えば、決心次第で、誰にでもできるとも言える。

そして若い時に、早くそれに気づいた人は誰でも、安田のように成功するかどうかは別にして、ある程度蓄財できることになるのだろう。この安田の蓄財の教えは、まさに正鵠を射たものだろう。ただ流風のような年齢になって、気づいても遅すぎる(苦笑)。

*追記

彼の言いたいことは、次のような意味だったのかもしれない。

商売や投資の成功で、財産を増やした人は、少ないということを、しっかりと認識することは大切だ。一般庶民は、仕事をしっかりして、生活を堅実にすることが賢明だということだろう。

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