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2009年2月27日 (金)

磯の鮑の片思い

ある落語(*注)で、地主の所に婿が来るというので、少し足りない男が、長屋からのお祝いとは別に、鮑を持っていくシーンがある。お祝い返しを別途、期待する女房にそそのかされて、それを持って行った男に、地主は、彼の女房のやり方を見抜いて腹を立て、いちゃもんをつける。つまり、「磯の鮑の片思い」と言われる鮑をお祝いの品として持ってくるとはどういうことだ、と。

男はびっくりして取って返すが、途中で鳶の頭に出会い、事情を話すと知恵を授けてくれる。「祝い物には、すべて熨斗(のし)をつけるが、その熨斗を返すかって言ってやれ。熨斗というものは、鮑から作るものだと」。それをそのまま言うと、地主は感心して驚くが、所詮、借りてきた知恵には限界があり、逆に地主に突っ込まれる。それを何とか切り抜けるという話だ。

借り物の知恵で、自分の知恵のようにいう人は、現代でも多いが、身に付いた知恵と借りてきた知恵とでは雲泥の差がある。流風も、そういう過ちをしている可能性があり、この男のことを笑うことはできない。

ご用心、ご用心。でも、この男は、地主から、鮑の代金より大きい、お祝い返しをもらったであろう。知恵のない者も、周囲にアドバイスを素直に聞けば、いいことがあるのかもしれない。まあ、一番得をしたのは、最初に、そそのかした女房か(笑)。

ところで、前振りが長くなったが、先に出で来た「磯の鮑の片思い」は、片貝ゆえ、そのように言われるのだろうが、昔の人はうまく表現したものだ。でも、世の中、両思いは稀なことのようにも思う、皆さんは、どうだろう。

若い頃、小心者の流風は、ちょっといいなあと思った女性に話しかけられなくて、随分と片思いで悩んだものである。大体、気軽に話しかけるということが出来なかった。時々、興味のない女性から話しかけられたが、それはそれで対応に困ったものだ。嫌なものは嫌という態度をどうしてもはっきり示すので、女性たちからは嫌われたものだ。

まあ、人見知りが激かったのは事実だろう。今でも人見知りはするかしもしれないが、以前ほどではないだろう。世の中、いろんな人がいる。先入観と実際に会って話すのとでは、大きな差異があることが多い。まあ、今となっては、片思いも懐かしい経験だ。流風の受ける第一印象なんて、あまりあてにならないことがわかったからね(笑)。

*注  落語『鮑熨斗』

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