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2009年2月 1日 (日)

役員報酬を考える

大半の一般サラリーマンは関係ないけれど、今回は役員報酬について考えてみよう。すなわち役員給与のことである。しかし、サラリーマンの給与とは根本的に異なる。役員は経営に関与しており、本来、人件費として処理されない。

この役員報酬を時々、上場会社やベンチャー企業の役員のものを見ると、利益を出すどころか、赤字でも、役員が役員報酬を受け取っている例が見られる。それも非常に多い額だ。どのようにして捻出したのかわからないが、当局は見逃すのだろうか。

大体、数期も利益を上げず、役員報酬を受け取っているのもおかしいが、トップとして、いつまでも留まっているのは、もっと変だ。企業は、利益を追求する集団で、経営者は、その使命を負う。結果が出なければ、無報酬が当然だし、数期も利益が出なければ、仮に創業者でも退任すべきだろう。

このような経営者が、責任も取らず、いつまでも、のさばっているとすれば、日本全体として、資本効率の悪い企業が存在していることと同じ意味だ。東証やベンチャー市場は、早期に改善命令を出すべきだろう。また、そういう仕組みにするべきだろう(*注)。

さて、上場していない中小企業も様々では、いろんな例があるが、一般に、創業期ならいざ知らず、何年も、赤字を出しておきながら、存立している企業がある。これらの企業は、利益を出しても、経費を使って、僅かな利益しか出さないようにしている。大体、高い役員給与を得ている場合が多い。

税理士も、そのように指導する人もいるから、情けない(僅かな利益を出すのは、黒字でないと融資してもらえないし、補助金ももらえないことが多いから)。しかしながら、このような企業は、最終的には、整理することになる可能性が高い。利益を出す企業体質にしない限り、生き残ることは難しい。事業を継続するなら、いつまでも個人企業の延長ではいけないだろう。

凡そ、企業を存続させようとすれば、企業体質を強化し、利益を少しでも多く出して、納税すべきなのだ。その上で、内部留保を将来の景気変動や投資に備えて、蓄積すべきなのだが、どうも経営者側は、税を納めることを悪と考えている人々がいるのには驚く。結局、意味のないことにお金を使って、企業を長い目で見れば、自ら弱体化させている。

そのことで思い出すのは、かなり前のことで恐縮だが、ある中小企業の社長の役員報酬について尋ねた所、驚くべきことに、月15万円だった。確かに、住宅は、資産としてあり、ローンも終わっているようだったし、子供も独立しているようだった。

それでも、曲がりなりにも、中小企業の社長が、月15万円の役員報酬とは。この社長が説明するには、従業員に給料を払い、利益を出すには、自分の報酬をシビアに見ないと、従業員も真剣になってくれないと言うことだった。業績は、まずまず毎年利益を出しており、配当も出して、内部留保も少しずつ、いざというときのために備えていた。

なぜ、そのようにしているのかと問うと、創業した時、かなり儲かったが、経理が出鱈目だったため、税務署から、クレームがきて、追徴され、強く指導されたそうだ。そして、企業を続けるには、企業は利益を出して、それを継続することが大切であることが初めてわかったそうだ。

彼は、税務署の指導を善意に受け止めて、社内のいろいろな無駄な仕組みを整理して、最終的には会計に人材を得て、体制を整えたということだった。つまり税金を納めることを目標にすれば、経営は締まってくるそうだ。

本来、コストを抑えて、利益を捻出することが、企業の本来の役目である。コストには、自分の役員給与も含まれる(税法的には経費として認められないが)。役員も、過剰な報酬や経費を使うことなく、安定的な利益が出る構造にすることが求められる。その社長は、結局、配当が、ボーナスのようなものだと言っていた。そういう考え方の方が健全ではないか。

大企業の経営者も、ベンチャー企業の経営者も、中小企業の経営者も、なすべきことは基本的に変わらない。まず、経営者が報酬のあり方を厳しく戒めて、その経営姿勢を改めるべきだろう。

*注

なお、企業業績は振るわないのに、高い役員報酬を出していたウオッチングしていた某上場会社は、その後、整理したようだ。やはり道理に適わない経営は、いつか破綻するということだ。これは欧米の企業に、よく見受けられる。彼らには企業道徳というものに欠けている。日本の企業は決して参考にしてはならない。

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