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2009年3月19日 (木)

夢の中~落語『一日公方』

六本木とは、随分と物騒な所のようだ。報道によると、犯罪の温床のなっている場所という。都市の発展は、ある程度の猥雑性は必要と思われるが、統制がとれなくなると、暴走するのだろう。それは大阪のアメリカ村も同様だろう。人々は、法治国家の中で、不統制を夢見るのであろうか。

話は例によって、変わるが、子供の頃、流風はいろいろ夢想したものである。小さい子供の頃は、土手に寝転びながら、あの空に浮かんでいる雲が綿菓子であればいいなあとか、蟻の巣を発見しては、それを支配できたらとか、蛙や雀を追いかけては、彼らを自由に扱うにはどうすればいいのかとか、近所の権太(ガキ大将のこと)には、どうしたら勝てるのかとか、いろいろ夢見た。

学校に行くようになってからは、勉強せずによい成績を上げるにはとか、少しませてきて、かわいいあの娘は、どうしたら仲良しになれるのか(笑)とか、思い浮かべたものだ。そういうと、以前、アイコラ(アイドルコラージュ)など、著作権に反する行為が問題になっていたが、最近は、それを合法的にビジネスにしている例もあるようだ。

DVDで、韓国有名俳優と、まさに“夢の共演”しているようにコラージュするものらしい(日経MJより)。これは女性向けのサービスのようだが、案外、男の高齢者にも受けるかもしれない。若い男は、その程度で満足できるかどうかわからないが(笑)。

ところで、夢見る落語に、『一日公方』というものがある。主人公は、大工の市兵衛で、麻布の六本木に住んでいた。当時は、現在のように開発されておらず、江戸時代は、木の多い所であったようだ。市兵衛は、老いた母親を抱えながらも、親孝行であった。

ある日、いつも仕事の世話をしてくれる出入り先の珍斎という先生の所に行くと、来客中だった。よいところに来たということで、一緒に話に加わる。何の先生か知らぬが、気安い先生だ。

ところが、どうしたことか市兵衛は、飛び出していき、酒を一升買ってきて客人に向かって言うには、「あなたさまは、公方様(将軍のこと)に非常に似ておられるので、こうして一緒にお酒を飲んでいるような気がして、もうこの世に思い残すことはない」と。

それを受けて、「そなたはなかなか面白いことを言う。何か、望みでもあるかな」と言うと、市兵衛、応えて言うには、「一日でもいいから、公方様になりたい」と大胆な発言。大体、飲めない奴ほど、飲むと大胆になる。そうすると、その客人は、珍斎と、ひそひそ話。珍斎は、お酒の中に何かを入れた模様。ああこわ。最近も、そういう犯罪事件が六本木でありましたね。そうとは知らず、市兵衛はしばらくすると、寝息をたてて、熟睡。

翌日、市兵衛が目を覚ますと、日頃と雰囲気が違う。酔った状態で道路の上に放置されたのではなくて、いつもと違う高級な夜具に包まれていた。びっくりして起き上がると、老女が「あなた様は、公方の君でございます」と言う。「何を、そんなこと、あってたまるかい。何言ってるんだい、私は麻布の市兵衛だ」

「いえいえ、それは市兵衛の夢をご覧遊ばしていたのでございましょう。あなた様は、間違いなく公方様でいらっしゃいます」。市兵衛、ますますわけがわからなくなって、そうこうする内にお召し替えされて、一段高い所に坐らせられる。

それではと、そういう気分になって、やけくそで、町奉行を呼び出して、「麻布の市兵衛は親孝行なので、200両ほど与えよ」と指示。その後は御殿女中と飲めや食えの大騒ぎ。ところが、どうしたことか、狂人扱いされて牢屋行き。どうにか、自宅に帰されたが、未だに、何のことかわからない。

数日経って、再度、珍斎先生の所に行くと、例の客が来ていた。悪い予感。それにしても、よくお忍びでやってくる公方様だ(笑)。落語は、その辺、適当なところがいい。彼が尋ねるに、「市兵衛、望みどおりに公方になれて、嬉しかったか」と。市兵衛が「何が何だか、わかりません」と応えると、珍斎先生、言うには、「この方こそ、公方様であらせられるぞ」と。

市兵衛、びっくりして、「あなた様が、公方様でしたか。どうも、大変失礼しました」。「あはは、お前は、面白い奴だ。親孝行に賞でて、一町四方を、その方につかわす。以来、市兵衛町と改めよ」。「それでは、遠慮なく、頂きます。有難うございます」。

「どうだ、嬉しいか」。「どうも様子がすっかりわかりません。市兵衛が公方様で、公方様が市兵衛で・・・」。「また゜わからんか」「こいつは、麻布で気がしれねぇ」

流風も、若い頃は、お酒を飲んで夢心地で、結構饒舌になった。そういう時は、夢か現かということになりやすい。日頃の鬱憤を晴らして、上司をハラハラさせたこともある。でも、市兵衛のようなことは、とうとう経験しなかった。今となっては、もう、そんなことはどうでもよくなった(笑)。

まあ、将軍のお膝元の江戸でのお話ですね。大阪ではありえない題材だ。仮に大阪に将軍がいても、そういう夢想はしないのが、関西人だろう。でも、一日首相もいいかもしれない。いやいや、気苦労が多くて大変だろう。変な夢は見ずに、庶民の暮らしが一番だ。

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