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2009年10月 1日 (木)

こがれ死に、ということ

   ゆく蛍 雲のうえまで いぬべくは

        秋風ふくと 雁に告げこせ

                (在原業平、後撰集)

暑さがぶり返したかに見えたが、朝晩は、日を追うごとに秋らしくなっている。なかなか咲かなかった萩も、やっと咲いた。秋風は、まだ強く感じてはいないが。

最初に示した歌は、ある男に恋い焦がれた良家の女性が、こがれ死にしたことを、その母親に聞いて、男は駆けつけたが、もう既に、その女性は、この世のものではない。季節は旧暦6月の末で、まだ暑い季節に詠ったもので、日の入り後、少し涼しくなった状況を指しており、現実に強い秋風は吹いてはいない。

夜風にあたり、蛍が舞いあがるのを見ながら、情を交わすことができなかった無念を感じながら、男は、この歌を詠んだのであろう。結構、男は、こういう後悔をするものだ。だから、女性も、気持ちの意思表示を明確にした方がいいかもしれない(笑)。男は、概して鈍感だから、態度で示さないと、男には通じないものである。

さて、今でも、男女ともに、いろんな異性に、憧れたりするだろうが、こがれ死にする人は、さすがにいないかもしれない。大体、憧れるというのは、遠くから見て、その実体を知らないから(笑)。まあ、本当のことを知れば、憧れることもない。

ただ現代は、あまりにも、あけすけに相手が見えてしまうことが、異性の魅力を減じているとも言える。自分を全て見せることは、却って、逆効果なのだ。だから、大体は知っているけれど、わからない部分もあるというのが、望ましい。もちろん、悪意があれば問題だが。

でも、憧れる異性があるというのは、最早、羨ましい限りだ。あの若い時分には、もう戻れない。

*出典 『伊勢物語』

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