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2010年2月11日 (木)

ビジネスを動かすには その八(百貨店業界)

ビジネスを活性化するのは、民間の知恵。決して政府ではない。国や行政への依存体質の高い企業は、早くその意識を脱しよう。どうも元気のない企業は内向き志向だ。そこから脱する意識が大切だ。

今回は、百貨店業界を見てみよう。関西でも、京都の四条河原町の阪急百貨店が閉鎖退店するようだが、百貨店業界は大変らしい。大きな百貨店同士の提携・合併は進んでいる。阪急の退店も、提携合併がらみとの噂もある。

また、地方の百貨店も同様な感じだ。顧客は、都市部へ逃げる上に、消費が落ち込み、ダブルパンチだ。経営コストを引き下げる努力をしないと生き残るのは大変かもしれない。

これらのことも含めて、今までにも、百貨店の問題については触れたが、少し整理して記してみよう。ただ都市型百貨店と地方百貨店では、その課題も違うが、それは特に区別しない。以下、感じたことをランダムに記していこう。ただ、戦術的な解決策は示せないかもしれない。

①まず、なぜ、百貨なのか。

百貨店は、そもそも百貨が揃うから百貨店なのだろう。確かに、百貨店に行けば、多種多様の商品が並んでいる。ただ、いろんな物を揃えるという、それだけなら、扱う物は違っても、百円均一の百円ショップとなんら変わらない。違いといえば、百貨店は、高級品で、品質がよく、高いイメージだ。

そして、「百貨」を、消費財のすべてが揃うのことを意味するのであれば、最早、現代では、百貨店だけでは無理かもしれない。百貨店は、もう一度百貨の意味を再確認し、顧客が期待している百貨とのズレを認識すべきだろう。そうすれば、解決策は見つかるかもしれない。

②物だけを売っていないか。

それに、最早、「貨」は、物ばかり売ることで満足してはならないだろう。アフターサービスだけではなくて、いかにサービス商品を揃えて売るか。物と物の組み合わせ、物とサービスの組み合わせ、サービスとサービスの組み合わせを要する。それらは百貨店の信用と人のブランドを組み合わせでの提供が他業種との差別化を生む。

③百貨店だけで、扱っている商品か。

最近は、百貨店だけで取り扱っているものは大変少ない。大きなスーパーでは、百貨店同様の物が扱われている。そして価格も安い。こうなれば、百貨店で購買する意味はほとんどない。

他の業態との差別化戦略はあるのだろうか。他業態が百貨店のお株を奪い取っている現在、新たな戦略が望まれる。存在価値の再確認は必要だ。

④販売手法が旧態依然としていないか。

そして、高く売るためか、説明しないと、顧客に納得が得られないのか、やたらと店員が多いことだ。もちろん、正社員だけでなく、その多くはマネキンと呼ばれる人たちかもしれない。そのことを含めても、多いのは事実だ。平日とか、時間帯によっては、顧客を上回る店員がいることはよくある。

そのように考えると、自社責任商品と、単に場所を貸しているのに過ぎない商品があるが、立地の良さから考えると、全体として見れば、あまり効率のよい商売ではないかもしれない。ネット販売も含めて、ビジネスシステムの見直しが必要だ。

⑤なぜバーゲンばかりするのか。

母もそうだったが、百貨店ではバーゲンの時しか買わなかった。百貨店で正価で買うのはアホだとよく言われた。その点、男は無頓着で、正価で買ったりする。それを知ると、アホ・バカ呼ばわりされる。女性はシビアだ。百貨店の顧客の大半が女性であることを踏まえると、そこに問題がある。

だが、百貨店は、なぜバーゲンばかりするのだろう。多分、それは売値に自信がないからだろう。つまり商売がいい加減なのだ。最近は、それを見透かされて、百貨店で見て手にとって、買うのはネットで、という若い人たちも多い。そして、それは親世代にも波及している。こうなれば、百貨店ビジネスはもう成り立たない。

基本的に、百貨店の原点、越後屋(後の三越)の正札商売に戻るべきだろう。値付けが甘いから、バーゲンばかりになるのだ。自信を持って値付けすべきだ。

⑥経営効率に問題はないか

韓国の百貨店が好調らしい。日本の百貨店と事業環境は異なるだろうが、参考になることも多い。百貨店は、不動産・設備管理費等空間コストと接客等人材コストがほとんどだ。これらをいかに効率的に運用するか。

百貨店の方針にもよるだろうが、家電量販店や百円ショップのような運営方法で成り立つ百貨店もあるのではないか。彼らの経営システムに学ぶ必要もあるのではないか。変なプライドは捨てた方がいい。

⑦地域に根ざしているか

都市部の百貨店を除けば、地域の百貨店は、地域との共存が必要だ。この点、大手スーパーは、出店効率を重点課題に置いたため、あまり成功していない。地域との連動的な動きはなく、あくまで「個店」だ。これはあまりよくない。「個店」=「孤独店」だ。

百貨店も同様で、百貨店内で、固まるのではなく、周辺環境を意識して、積極的に周囲に働きかけていく意識が必要だ。顧客開発も、共同でやってもいいはずだ。共同販促もいい。共同の売り出しもいい。棲み分けは十分可能だろう。巻き込む気持が経営者にほしい。地域が何かをやって、生き生きとしておれば、人は集まる。

⑧季節ごとのハレとケの区別を明確に

従業員も正月ぐらいは休ませるべきだ。従業員は、別の意味で顧客だ。従業員を大切に扱うことは、顧客を大切に扱うことにつながる。従業員の生活自体が、ハレとケの区別が出来ないようでは、大きな成果は望めないだろう。正月に店を開けたりしているが、これはハレとケの区別が経営者に出来ていないということ。

ハレとケを分けることは、あらゆることに、けじめをつけることにつながる。そういう季節感を出すのは、必ずしも、店の飾り付けのみではない。人の意識を含めて、どのように運営しているかが問われている。百貨店全体が文化の発信場所であることを忘れていないか。

以上、色々記したが、基本的には、百貨店の存在価値を経営者、従業員共に、再確認してもらいたいものだ。

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