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2010年4月 2日 (金)

職人の叱り方

職人の世界は厳しい。かつては、先輩の仕事を盗めと言われ、盗もうとすると、どつかれたりしたものだと、祖父から聞いています。最近は、職人になるにしても、先輩が手取り足取り教えないと、新人もついてこない、厄介な時代です。

人間、やっぱり、どつかれたり、罵声を浴びて、その悔しさから人間は成長するものです。先輩の厳しい言葉の意味を考えながら、素直に受け取れる人材は、指導を誤らなければ、成長するのは、間違いのない事実だ。

それに比べて、やわやわと育てられた人間は、極限に弱い。精神的に弱いから、最終的には、人材になりえない。最近は、褒めて育てるということが、持て囃されているが、それも限度を超えれば、本人のためにならない。

ちょっと困難に直面すると弱音を吐く。これでは、人材の育成は覚束ない。ところが、最近は、社会が何かとうるさすぎる。やれ人権だ、暴力禁止だ、パワハラだ、また相手が女だと、セクハラだとなり、人を育成することはなかなか難しくなっている。

もちろん、それが本当のいじめであってはいけないことは確かだ。叱るということと、いじめは区別はしなければならない。ただ、その辺は第三者には、わかりにくい。そこで、今的な問題になる。基本的に、人材育成に、“愛”があるかということが分かれ目だ。

先輩にとって、後継者を作ることは、更に自分が次の段階に進めること。仕事は、新人に渡したくないが、早く一人前になって欲しいのも事実。先輩にとっても、すべて伝えて、空の状態にすることが、次のステップにつながる。

だから、基本的に新人を一人前することは、最終的には自分のためでもある。ただ、苦労して手にした技術を安易に伝えたくないという気持ちもある。そこで、後輩に厳しくなる。でも、かつての職人の教え方は厳しいけれども、愛情もあった。

すぐ腹が立って手が出るけれども、しゅんとしている新人の状況を見て、「ぼけ、あほ、おたんこなす」と、言いながら、なんとなく、共通の笑いを誘って、救いがあった。この言葉の裏には、「お前、もっとしっかりして頑張れよ」というニュアンスが含まれている。

これは、ちょうど子供を叱りながら、抱き寄せる母親の姿と似ている。指導する人は、叱ることも必要があるが、愛情を以て励ますことも大切だ。これらはセットだということを忘れてはいけないだろう。

*追記

なお、自営業の祖父の場合の叱り方は、本人の前では、けちょんけちょん(ぼろくそ)に言っていたようだ。そして、祖母が、陰で、くしゅんとなった新人を慰め、励ましていたということだ。うまく役割を分担していたということだろう。そういうやり方もあるかもしれない。

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