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2010年5月18日 (火)

歌仙たちの嫉妬(上)

六歌仙というと、『古今和歌集』に紹介されている。僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、僧喜撰、小野小町、大友黒主だ。『古今和歌集』は、紀友則、紀貫之、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、壬生忠岑(みぶのただみね)の四名によって、選ばれた歌集だが、実質は、紀貫之によるものだ。

よって、六歌仙も、彼に選ばれたと考えるべきなのだが、批評は辛口だ。引用すると次のようになっている。

 ●僧正遍昭

「歌のさまは得たれども誠すくなし。たとへば、絵にかける女を見て、いたずらに心を動かすごとし」

 ●在原業平

「その心あまりて言葉たらず。しぼめる花の、色なくてにほひ残れるがごとし」

 ●文屋康秀

「言葉はたくみにて、そのさま身におわず。いはば、商人のよき衣きたらんがごとし」

 ●僧喜撰

「言葉かすかにして、初め終わりたしかならず。いはば、秋の月を見るに、暁の雲にあへるがごとし」

 ●小野小町

「いにしへの衣通姫の流なり。あはれなるやうにて、強からず。言はば、よき女の悩めるところにあるに似たり。強からぬは、女の歌なればなるべし。

 ●大友黒主

「そのさまいやし。いはば、薪負へる山人の、花のかげに休めるがごとし」

貫之の六歌仙の評価は、女性の小野小町を除いては、厳しい。小町に少し甘いのは、貫之も男だからか(笑)。

しかしながら、なぜ、これら六名が選ばれたのかは、不明のようだ。貫之が本当に選んだのかどうかも怪しいとも言われる。勅撰集だから、上や関係者からのいろんな指名があったのかもしれない。貫之は気に入らなかった分、仮名序に、これだけ厳しい批評をして、憂さを晴らしたのかもしれない。本当は、選んだのは、本意でないと。

前振りが随分長くなったが、この続きは、次回。

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