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2010年6月30日 (水)

正しい治め方~『老子』第五十七章を読む

世の中の成り立ちは、複雑だが、国を治めるとなると、案外、正々堂々としたやり方が、いい結果を生む。いろんな策で国民をもてあそべば、結局は、大きなしっぺ返しを受けるのが常だ。『老子』第五十七章にも、そのようなことが記してある。

  正を以て国を治め、奇を以て兵を用い、

  無事を以て天下を取る。

  吾何を以て其の然るを知るや。

  これを以てなり。

  夫れ天下に忌諱多くして、民彌(いよいよ)貧し。

  民、利器多くして、国家滋(ますます)昏(くら)し。

  人、技巧多くして、奇物滋起こる。

  法令滋彰(あき)らかにして盗賊多く有り。

  故に聖人は云う、

  我無為にして民自ずから化す。

  我静を好みて民自ずから正し。

  我無事にして民自ずから富む。

  我無欲にして民自ずから樸なりと。

一つ一つ解釈していくと、次のようになるだろう。

まず「正を以て国を治め、~これを以てなり」を解釈すると、

「国を治めるには、変なことをせず、正々堂々とした王道のやり方がいい。戦争で兵を用いるには、奇道を以てするが、天下を治めるには、何もしないという方法が適切だ。そのことが分かった理由を以下に記しておこう」となるかもしれない。

次に、「夫れ天下に~盗賊多く有り」までは、次のように解釈できる。

「天下には、必要以上に禁止令がたくさんある。禁止令のために、民は、ますます貧しくなっていく。また文明が進歩して、いろんな便利なものができると、そのために国は、ますます、物事が見えなくなる。民は、技術や工芸力が増すと、世の中に貢献しない変なものが作られる。その結果、法令は、ますます複雑になり、その隙間を狙って、盗賊あるいは、盗賊の類が増えるのを助長している」と。

最後に、「故に聖人は云う、~民自ずから樸なりと」は、次のようになる。

「そこで、聖人は言っている。私は、民に、あれこれと指示をしなければ、民は民で考えて、それなりのことをするようになる。私が、静かにしていると、民は自然と正しい行動をする。私が、争いを好まなければ、社会は、それなりに安定して、民は豊かになる。私が欲を出さなければ、民は、無理をせず、純朴を保てるのだ」と。

これは何を語っているのであろうか。上から国民を法律で押さえつけても、世の中は複雑化するだけと言っているようにも見える。知恵は、お上にありそうで、案外ないのが現実だ。それは日本も同じこと。いろんな論議をして、いろんな法律を作って、がんじがらめになっている。

結局、自分自身だけでなく、国民も拘束して、自由を奪い、活力をそぎ落とす。それが他国からの要請と逃げるが、それは国家としての主体性が問われている。国は、国民が自分で考えて、自分の裁量で動けることを促進すればいい。

それで国民の目が届かないところに、目配りをすればいいのだ。なんやかんやと、口を挟み過ぎれば、国民は自由を失い、あるいは過保護になって、国の運営が難しくなっていく。上からの法治には限界があり、何事も明らかにして、国民が自ら考えるようにすれば、なるようになる。それが、政治をうまく運営することにつながると、老子は言いたかったのかもしれない。

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