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2010年7月29日 (木)

興と除

全ての女性とは言わないが、一般的に、女性は、何でも溜め込みがちだ。母も、とても着ることができないと思われる若い頃の衣服は、ずっと溜め込んでいたし、年齢的に、もう使うことのないバッグも処分しなかった。確かに、これらには母の歴史が積み重なっており、捨てるには惜しかったことは分らぬでもない。

でも、部屋のスペースは狭くなるし、整理整頓には限界がある。それに母の場合は、再利用を意識してか、ゴミのような物もなかなか捨てなかった。段ボール、空き缶、空き瓶など母が亡くなってから処分したが、かなりの量だった。それらは、とても再利用していたとは思えないのだ。

それに比べて、父は、日頃から、不要な物は、どんどん処分する方だった。父が亡くなった時、処分する必要があるものは何もなかった。更に、死の一年前から、まるで死を覚悟したかのように、少ない持ち物を処分していた。日頃から、人間は裸で生まれて、裸で死ぬ、ということをよく理解していた。

話は変わるが、以前にも取り上げた、耶律楚材の言葉を再掲しておこう。それは『元史』に記されているものだ。

 一利を興すは、一害を除くにしかず。

 一事を生(ふ)やすは、一事を減らすにしかず。

新たなことを興すには、不要なことを整理することには及ばない、と言っている。新しい物が欲しくなったり、新規のことがやりたくなったら、まず古い物を処分したり、事を整理してから考える。これは、政治、経済、経営、個人、すべての分野で共通することである。

古い物の処分や事の整理をせずに、新しい物や事を導入すると、結局、混乱を招くだけになる。だが、長い間、放置しておいて、ある日、突然に処分しようとしても、それはなかなか、うまく行かない。

だから、それは経営の場で、よく言われてきたように、整理・整頓・清掃を毎日繰り返すことで、気づきが得られる。日々、取り除く習慣が、新たな価値を生む環境を作る。そういう意味では、父のやり方を評価したい。

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