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2010年8月25日 (水)

株式市場を乱す要因

株式市場が、円高を理由に急落している。しかしながら、これはドル安・ユーロ安の結果だ。円高を株価下落の理由とするのは、少しおかしい。確かに輸出価格は上昇して、競争条件は悪化するが、今の大手の輸出企業は、多国籍化しており、単純ではない。

更に、国内株式市場の上場株式は、何も輸出産業ばかりではない。輸出産業の全体に占める比率は少ない。内需関連株も、下がるのもおかしい。大体、円高で騒ぐのなら、本来、円安でも騒がなくてはならない。円安の時は、過剰な利益を計上しているはずだが、その時は口にチャックだ。ところが、円安の時は、そんなに株価は上昇していない。

全く、ご都合主義と言わざるを得ない。極めて恣意的な騒ぎ方と言える。むしろ日本経済の現状から言えば、明らかに下がり過ぎで、本来は、リーマンショック以前の株価に戻ってもいいぐらいである。まともに評価すれば、現在の株価の倍くらいになっても、おかしくない。

株価が、業績は持ち直しているのに、リーマンショック以前の水準に戻らないのは、いろんな理由があるだろう。BIS規制や、国際企業会計に合わせるため、企業が持ち合い株式の処分や、持ち株を減らしていることも影響しているだろう。それらを穴埋めする個人投資家も、市場に戻っていないこともあるだろう。

そこで活躍するのが、外国人投資家とか、ファンド関係者に、株価が左右されるようになっている。彼らは成果を上げるため、3か月ごとに、短期的な取引をする。細かいいろんな屁理屈をつけて、相場を乱高下させて、利益を得ようとする。乱高下が大きいほど、うまみは大きいからだ。それが日本の株価市場を乱している。

現在は、多分、相場を下げて、利益を上げているのだろうが、いずれ、相場を上げて利益を上げる機会を見るだろう。こういうやり方は、ファンド金額が積もるに従って、年々激しくなっている。いわゆる投機化だ。

これらに対応するには、嵐が吹き終わるのを待つしかない。嵐は、誰も止めることはできない。相場・証券関係者は、政府・日銀に期待する発言をするが、それは正しくない。流れを読むことこそ、相場・証券関係者の仕事ではないか。自分の見通しに失敗して、国に泣きつくのは極めておかしい。あまり、騒がず、ばたばたせぬことだ。

*追記

欧米の景気が悪いのは当面続き、ドル安・ユーロ安を止めるのは、難しい。一部楽観的な見方もあるようだが、そんなに甘くない。結果的に、円高は、亢進する可能性が高い。それを止める方法はない。それに対応した経済運営をするしかない。

確かに、製造業の国内空洞化の懸念はあるが、産業政策としては、逆転の発想でローテクを中心に、中小企業の海外進出を促すべきだろう。海外の労働コストが日本と比して、かなり安いのだから、これを無理して競争しても、仕方がない。産業の高度化と国際ネットワーク化を強化して、利益を上げうる貿易体制に変更する必要がある。

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