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2010年12月 7日 (火)

僧正遍昭のにぎやかな人生(三)

宗貞はデート遅刻事件も起こしている。デートに遅れるのは、二人の関係性が重きを成している。相手に思いが強ければ遅刻することはないだろうし、反対に、思いがそれほどでもなければ、いつ切れてもいいと思い、その扱いも軽くなるものだ。もちろん、その他の理由もある。それは、その後の処理の仕方で相手の思いがわかる。

宗貞の場合は、どうだったのだろう。彼が天皇の寵愛が深かった頃、忍んで逢っている女性がいた。ある時、深夜に会う約束をしていたが、女性の所には、いつまで経っても、彼はやってこない。痺れを切らした、その女性は、彼の所に手紙を遣る。そこには、次のように記されていた。

  人心 うしみつ今は 頼まじよ

彼は目を覚まして、ああ、転寝のつもりが失敗したなと思い、次のように返す。

  夢に見ゆやと ねぞ過ぎにける

要するに、女性が「丑三つ(午前二時半)の時間も過ぎているのに、やってこられないので、あなたの心がわかりました。もう頼みにはしません」というのに対して、宗貞は、「夢にあなたのことを見るのではないかと思い、寝過ごしました。その結果、約束の子の刻(午前零時)を過ぎてしまいました」と返したのだ。

こういう言い訳、男だったら、よくするよね(笑)。でも現代は、歌でやり取りすると言うより、直截的。昔の方が風情があるなあ。まあ、こういうやり取りは、皆がやっていたわけでもなさそうだが。

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