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2010年12月 6日 (月)

僧正遍昭のにぎやかな人生(二)

  山吹の 花色衣 ぬしや誰

       とへどこたへず 口なしにして

                          (宗貞)

在原業平が色好みであったことは一般には有名だが、僧正遍昭が、俗世の宗貞の頃、色好みであったことは、業平と比べても遜色ない。天皇は、宗貞があまりにも、色好みの悪い評判がするので、それを諌めた話もある。

天皇が女装して、潜んでいたが、計られていることを知らない色好みの宗貞は、そっと袖を引く。しかし、天皇は、無言なので、詠んだ歌が、最初に挙げた和歌。そこで、天皇が正体を明かすと、宗貞、驚き慌てるというもの。

実際あった話かどうかはわからないが、そういう噂が立つぐらい色好みは皆に知れ渡っていたようだ。まあ、宗貞は、天皇の企みは見破っていたと思う。これは、天皇と従兄弟の関係にある宗貞との気楽さから出た戯れだろう。

そういう、作為的な歌が嫌われたのか、『古今集』の仮名序での彼の評判はあまりよろしくない。それは次のようになっている。

 僧正遍昭は、歌のさまは得たれども誠すくなし。

 たとへば、絵にかける女を見て、いたずらに心を動かすがごとし。

彼の評価が正しいかどうかはわからないが、想像あるいは妄想に基づく歌は多かったかもしれない。そう考えれば、案外、小心者のようにも思う。業平ほどに、女性だったら、あたりかまわず、手当たりしだい、誰でもというような感じはしない。案外、真面目な人であったかもしれない。

天皇の仕掛けた、子供騙しについて、その意を汲んで、騙された風を装ったとすれば、むしろ優しさが感じられる。案外、彼の色好みの評判を立てたのは、天皇に寵愛される彼を疎ましく感じている勢力であったかもしれない。

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