« 上司を使う | トップページ | 関西も節エネルギー »

2011年4月29日 (金)

東日本大震災復興の行方(福島県除く)

家が津波で流されたり、福島原発の事故による放射線汚染等センセーショナルに報道された東日本大震災の全体像が、やっと客観的に報道されるようになった。これからは、復興についても、客観的事実に基づき、冷静に手を打っていく必要がある。

もちろん、優先順序を明確にして、メリハリはつける必要があるが、目先だけでなく、将来の危機を見据えた復興にしないと、意味はない。つまり震災は、これで終わったわけではない。今後、5年から10年、同程度の震災は起こりうると東西の学者は言っている。

中途半端に復興しても、今後も続くと言われる大災害に、またやられたら、同じことの繰り返しになる。それでは、亡くなった人々は、浮かばれない。復興の仕方は、あるべき姿について、納得が得られるように、地元との協議に十分時間をかけるべきだ。

さて、復興予算については、大体、前々から言っているように、大きく見過ぎているのは明らかだ。確かに、広範囲での災害だから、瓦礫の処理とかは、費用が、それ相応にかかるのは分かるし、福島原発の事故の処理は、一民間企業の事故とは言え、国も放置できないことは確かだ。

今回は、福島県を除く、岩手県、宮城県の復興の行方を見て行こう。まず、被災地の状況を見ていくと、前から分かっていたが、被災地は、沿岸部の漁業と、その加工業、農業の痛手が大きい。但し、国や県に占める経済面での金額的影響は、自動車関連を除けば、かなり小さい。よって、復興対策は、基本的に、人への支援と中小零細企業の再建支援としての金融支援を重点的にするべきだろう。それさえうまく回れば、復興の速度は早まる。

つまり、多くの零細業者の仕事を奪い、生活は壊されたから、仕事と生活の再建のバックアップには、国の支援が必要だ。だが、彼らの多くは地震保険に加入している人も多く、漁業共済、農業共済に加入しており(*注1)、経済状態は様々だ。その実態把握した上での支援が必要だ。国や地方のこれらの支援を受ければ、復興には、それほど時間はかからないとも思う。

結局、急がなければならないことは、経済活動のベースとなるように、瓦礫の処理と湾岸部の瓦礫の処理に尽きる(*注2)。ただ、急いで県外の業者を使えば、地元には金が落ちない。これらの処理を、現地の建設業者を使えば、金は確実に落ちるが、スピードは遅れる。その辺が、ジレンマであろう。

ただ、彼らの多くは農業との兼業だ。農業を休んでいる間、それで飯が食える。その点は、阪神淡路大震災のような都市型震災と大きく異なる。非常に有利な点だ。阪神淡路の大震災の場合は、瓦礫処理に応じる被災者は、あまりいなかったし(*注3)。、中小の建設業者も瓦礫処理が終われば、後の仕事は大手ゼネコンが握り、仕事がなくなり、経営悪化し、倒産した業者は多い。

その点では、今回は、瓦礫処理が終え、並行して塩害処理も進めば、数年後には、農業を再開できる可能性が高い。政府も塩害処理には、支援するようだから、将来は決して暗くない。それは漁業者も同様だ。そうだとすれば、地元の業者や失業者に仕事をさせれば、地元に金が落ちて、生活再建にも役立つ。ところが、それを急げば、県外の業者を招いて処理することになり、コストも余分にかかる。

課題としては、どれくらいの時間をかけるかということになる。瓦礫の処理を現地の人間が処理すれば、予想以上に時間がかかるかもしれない。その間、人材の流出の可能性もある。けれども、そんなに心配はいらないと思う。復興に伴い、人は戻ってくる。あるいは新しい人材がやってくる。

ただ、心配なのは、どうも政府には、3年で復興しなければ、という法律の縛りに捉われているのかもしれないが、10年くらいかけて、共災の街づくりということで、地元の人たちの理解が十分行き渡るように、じっくりと復興させるのがベターだろう。

それなら、やれ復興債だ、増税だということにはならなくて、公共投資は、毎年の一般予算の範囲内で傾斜配分で調整すれば、何とかなるはずだ。もちろん、国の厳しい財政状況は分かる。阪神淡路大震災の時より、財政状況は悪化している。一般予算さえ厳しいかもしれない。その場合は、一時的に所得税・法人税に上乗せさせる増税で賄う(3年間限定)のが一番合理的だろう(その場合は福島原発関係の処理コストを含めて、増税額が定まる)。

*注1

東日本大震災の状況を見ていくと、結構、保険の加入者が多いことだ。生命保険、損害保険等はもちろん、地震保険の加入者が、阪神淡路大震災に比べ、かなり多いことに驚く。地震保険は保険料が高いが、それだけ、備えがしっかりしているということかもしれない。

他方、高齢者の中には、経済的に厳しい方がおられる。避難所に残るのは、そういう人たちだろう。国としては、避難所の人がいなくなって、その後の生活にも目配りすることだろう。また避難所に居る限界は3カ月だろう。だが、地域性や被災者のわがままもあるだろうが、専門家たちが、コミュニティが大切だとか言って、仮設住宅の見通しを誤り、結局、彼らに長い避難所暮らしを強要させる結果になっている。これが正しい選択か、流風は強い疑義を感じざるを得ない。

*注2

ちなみに瓦礫の処理は、予想された通り、かなりのスピードで進んでいる。阪神淡路大震災と異なり、多くの建築物が流されており、改めて壊す必要のある建築物が少なかったことが大きい。

*注3

但し、阪神淡路大震災の場合は、止むを得なかった面もある。現場の仕事を紹介しても、被災者の中で、それを受けることはなく、敬遠された。それは被災者が事務系の人間が多かったから、現業系の仕事に申し込みしなかったからだ。その辺は、仕事のミスマッチが生じた。

*追記

また義援金の使い方にも工夫が求められる。義援金の集まり方は、阪神淡路大震災の時より、かなりいい。多分、世帯当たりの義援金の金額は、まずまずの金額になる。但し、各世帯に配分しても、その使い方に工夫がなければ、義援金は活きない。

生活費の補填に回すのもやむを得ないが、勤務先の企業の再建に回して投資して株主になるというのも、一つの方法として考える必要がある。中小零細企業は、少しの金でも入れば、回り出すこともある。経営者と従業員と一体になれば、企業の復興も可能となる。

|

« 上司を使う | トップページ | 関西も節エネルギー »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 上司を使う | トップページ | 関西も節エネルギー »