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2011年6月17日 (金)

原子力発電と電力会社の行方

関西でも、関西電力が、節電15%を民間に要望している。大阪府知事は、根拠を明確にしない要請であると批判していた。その後の関西電力の要請内容の詳細では、実質要望節電11%が確かなようだ。この要望の裏には、努力せずに利益を獲得したい思惑が見え隠れする(今回は、特別な意見ではなく、一般的な流れを備忘録的に記す)。

ライフラインの提供という公共的ビジネスでありながら、民間企業である限界があるのかもしれない。でも、電力会社には、いろんな思惑があるだろうが、最早、原子力発電推進による利益確保は諦めた方がよさそうだ。

そもそも電力会社が強力に原子力推進に乗り出したのは、中曽根政権以降の原子力推進の政策に乗ったものだ(もちろん、原子力発電の着工は、中曽根氏が政権を握るずっと前の佐藤栄作政権の頃に始まっている。ただ中曽根氏は、1954年に、稲葉修、斎藤憲三、川崎秀二氏等と共に、原子力発電を強硬に提案したのが初めだ)。

米国が、国内需要以外に、原子力発電ビジネスを推進したかった所に、中曽根首相が、日米同盟強化の意味もあって、乗ったのが実情だろう。当時の政府は、電力会社が原子力発電を推進すれば、努力せずに儲かるように仕組んだ。

それは経営者を何の努力もせずに利益が上がるという痴呆化させてしまう。そういう状態が延々と続いた結果、経営能力のない官僚の天下りでも経営できるようになったと言える(それは経営と言えるものではないが)。

そして、安易な原子力発電の推進は、日本側に、原子力発電の技術を十分消化できずに、借り物の技術を鵜呑みしたことが、日本の技術を充実・進展させなかった大きな理由だ。その他の民間ビジネスは、輸入ビジネスも日本化して、大きく発展するのに、不思議と原子力発電は、そうはならなかったのは経営の怠慢と指摘できる。

確かに、米国の技術者は、自らの技術を信奉し、日本がそれに加工するのを拒否したとも伝えられる。結局、日本の環境条件(立地条件や自然環境等)の実情も把握せず、また放射性廃棄物(使用済み核燃料)の処理方法も確立できないまま、原子力のような未熟な技術を使って、いきなり大規模の発電所を作ったことが、今回の事故の遠因でもある。

だから、自然災害が少なく、地震もなく、津波のない国家では、通用したかもしれないが、日本に対しては、明らかに、技術をそのまま移植することに誤りがあったと指摘できる。つまり日本には、まだ、それらに十分対応できるシステムが作られておらず、基礎研究も不十分であり、予備実験も十分にこなさず(日本は領土が狭く、適切な実験場所が無いので難しい)、リスク管理も無視したまま(無責任過ぎる責任の所在の無さ)、事業として推進した中曽根政権の罪は大きい。これは政治主導の悪い面が出たと言えるだろう。

以上のことを踏まえれば、電力会社も、脱原発を推進せざるを得ない。そもそも日本の電力需要は低下傾向にあり、それほど電力は必要とされなくなる。そもそも原子力発電導入時から、電力は余っていた。よって原子力発電がなくても、実際はそんなに困ることはない。

また原子力発電は、国が補助してくれるから、コストが安く見えるが、実質のコストは、遥かに高いことを考えれば、ビジネスとしては成り立たない。基本的に市場価格を無視した、「人為的な」価格で、コスト計算するのは、明らかにおかしい。電力業界も、まともな原価計算に基づく経営が求められる。

更に、経営面全般で見ると、電力会社は殿様経営で、コスト管理が若干いい加減だ。原油等が上がれば、安易に値上げして、消費者に転嫁する姿勢も、見直すべきだ。資源の輸入も言い値で買っているという噂もある。経営努力が足りない。もちろん、国や商社等外部の力を利用せざるを得ないのは分かるが、コスト管理は、もっとシビアにするべきだろう。

それに人件費も非常に高く、一般企業より昔から2~3割高い。こういうことは、改善して、強い企業体質にしないと、いずれ発電・送電分離になると、発電会社が生き残れるか、疑問が多い。電力会社も、正念場を迎えたと言えるだろう。各社共に、早期に将来を見越して、手を打つ必要があるだろう。

*追記

発電・送電分離をやれば、国内市場が活性化されることは間違いなく、自然エネルギーを中心として多様な発電に伴い、地方化、小型化がいろんなビジネスを生むだろう。日本に残された、数少ない活性化の手段には違いない。

*平成23年6月19日追記

海江田大臣が、原発再稼働について言及したため、全国の知事が反発している。当然のことだ。この人は、民間にいた時同様、発言が揺れる。それに今のタイミングで、再稼働はあり得ないだろう。大体、原発は再稼働しなくても、誰も困らない。困るのは、電力会社で、利益が、今までほど過剰に儲からないことだろう。電力会社はリストラが求められる。そのことを十分踏まえて、大臣は発言しなければならない。

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