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2011年10月12日 (水)

孫文記念館(移情閣)に行く

久しぶりに、舞子公園にあり、孫文記念館になっている移情閣に行ってきた。この記念館のある舞子公園は、潮風に当たりながら、ゆったりできる空間である。家族連れの人々が時の流れを楽しんでいるように見える。

ところで、孫文記念館のある移情閣とは、神戸で活躍した中国華僑の呉錦堂の別荘「松海別荘」が前身だ。その別荘の東側に建てられたのが移情閣という。ここで、孫文が来神した時、歓迎の食事会に使われたようだ。

名前の由来は、それぞれの窓から色んな景色が眺められ、それに伴って心も移っていく、と言う意味から名付けたらしい。人の心は現象に惑わされ移ろいやすいことを嘆いたのだろうか。それとも、そういうことを的確に掴めばビジネスが拡大すると感じたのだろうか。

さて、今年(2011年)は、辛亥革命100年ということで、関係各地でいろんな催しがされている。御存知と思うが、1911年10月10日の辛亥革命は、孫文が、理想の共和国建設を目指すため起こした。

当時、中国は国内の混乱に乗じられて、欧米列強に食い物にされていた。そのような時、革命を起こそうとする孫文の考えに、多くの日本人が共感した。日本も、欧米列強から脅威に晒されていたからだ。あの南方熊楠も、彼の考えに共感した一人だ。孫文と留学先で同じになり、日本と中国は、共同で東洋から西欧諸国を追い出そうと意見が一致したという。

もちろん、純粋に、そう考えた日本人もいたし、当時貧しい日本の資源獲得の思惑が働いた大陸浪人という人々もいた。玄洋社の頭山満もそうだろう。いずれにせよ、アジアから、欧米列強を締め出すという点で、利害が一致していた。

そうした中で、孫文の精神的支柱になったり、私財を提供した一人が、梅屋庄吉だ。彼のことは、最近になって、色々明らかになっているが、長く知られなかったのは、本人の意向で、家族にも口外を禁止していたからという。それは彼の曾孫にあたる小坂文乃(あやの)氏が、最近、明らかにされている。

彼の他には、身元引受人の役割を果たした宮崎滔天(とうてん)や、自ら革命に直接身を投げ出した山田良政・純三郎兄弟等がいる。彼らは純粋に、孫文の革命を支援した。また中国華僑の呉錦堂と取引のあった瀧川辨三・儀作親子も何かと支援している。ざっと見てみると、割と九州出身者が多い。中国と地理的に近いこともあるのだろう。

残念ながら、孫文を支えた多くの日本人の望みは叶えられず、日中戦争に突き進んでいく。何がそう駆り立てたのか。単なる軍部の暴走だけで片づけられない。なぜ、そのように歯車が狂ってしまったのか。

両国の指導層に考え方の相違が大きくなったこともあろうが、多くの日本の軍部には、侵略される恐怖感が大きかったこともあるだろう。だが、なぜ侵略される国家のことは考えなかったのだろうか。その辺に、軍部の人々の哲学の不足を感じる。これは、軍部も含めて日本の指導層に、勝海舟のように、深く中国を理解している人も少なくなっていたこともあると思う。

原因としては、明治維新以後、幕府にいたような教養のある人物が少なく、薩長の下級武士たちが、国家運営を取り仕切ったこともある。彼らは、欧米列強に追いつき追い越せという命題のため、左脳思考が優先したことも大きい。更に、軍部は、日露戦争で、指導者として哲学のある優秀な軍人をほとんど失ったことが両国を不幸に陥れたと思う。

結論から言えば、歴史的に、日本にとって、中国の安定は大切なことなのだ。中国が不安定になれば、日本にも不幸を招く。そのように考えると、国同士の対話も必要だが、多面的、多段階的に、国民レベルでの相互理解が深め続けることが、今後も望まれる。移情閣を見学しながら、そのような考えに至った(*注)。

*注

もちろん、指導層に、教養、哲学に基づく見識、胆識が十分備わっていることも大切だ。

*参考

映画『1911』が2011年11月5日からロードショーが始まるようだ。

   http://1911-movie.jp/

『レッドクリフ』のスタッフが作り、ジャッキー・チェンが主役だ。中国・香港映画で、中国の国策映画の匂いが強いが、彼らが、この革命をどのように受け止めているか参考になるかもしれない。

現在、中国では、孫文の評価は、必ずしも肯定的ではない人もいる。あれはブルジョア革命だと言うのだ。しかし、彼が理想を掲げて動かなかったら、状況は更に悪化していた可能性もある。

ただし、勝海舟が指摘していたように、中国は深い。例えは悪いがアメーバのようだ。一時的に失っても、必ず取り戻す。仮に孫文がいなくても、別の方法で国家を統一しただろう。ただ歴史に、もしもはない。彼の果たした役割を彼らも冷静に評価すべきだろう。

*追記

なお孫文記念館のある兵庫県立舞子公園では、公園のグランドオープン1周年記念イベントが、2011年10月22日(土)・23(日)開催される。家族連れで、のんびりしたい人にお勧め。但し、天気にもよるが、日傘、帽子は必携だ。

        http://www.hyogo-park.or.jp/maiko/

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