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2011年12月24日 (土)

2012年動向予測 国際編(二) 米国・欧州

2012年動向予測 国際編(一)の続き

ⅰ 米国経済は、2011年と基調は同じで、低迷継続。

基本的に、米国の衰退は避けられないのは2011年と見方は変わらない。長年の巨大な財政赤字、貿易赤字のツケがボディブローのように応えてくるだろう。これは少しの経済対策で解決できるものではない。日本同様、財政政策、金融政策、為替政策にしても満足のいくような対策は取れないだろう。

更に金融関係は、ユーロにコミットしている部分も少なからずあるので、経済の足を引っ張るだろう。ただ金融関係を除けば、ユーロへの貿易比率は低く、あまり影響を受けないという見方もある。この辺は、見えない部分が多く、不透明だ。彼らは、他国に対しては透明性を主張するが、その実態は、彼らこそ不透明だ。これらがユーロリスクで炙り出される可能性は十分ある。金融関係が一部危うくなる可能性がある。

米国経済について、資本市場関係者は、たびたび景気回復を囃すが、米国市場は、残念ながら、需要は低迷し、弱いままだろう。失業率は上がり、国内不安は増加していく。景気が良くなっているという報道もあるが、それはスポット的で、根本的なものは何も解決していない以上、過大な期待はできない。

もちろん、いろいろ手を打つだろうが、効果的な手はない。出来ることと言えば、まず実業の分野を他国(例えば日本)と連携しながら、アジア市場を意識しつつ、強化すべき産業政策を明確にしていくべきだろう。その点、ユーロ企業は強かで、すでに日本に各種研究分野で提携も含めて進出すると表明している。

米国は、日本をアジアに対する軍事の足場としているが、産業分野の研究・開発における足場にしているとは言い難い。この点は、逆に言えば、あまり日本を評価していないのかもしれないが、アジアを攻略したいのなら、日本を基点とする戦略も有効と思うが、彼らは、どのように考えるか。

また内需的には、公共投資のような現業的な雇用を生む産業への傾斜政策が求められるかもしれない。米国は、日本と違い、広い国土を有し、自国の資源も豊かだ。例えば、シェールガスの採掘が技術的に可能になり、数年後には輸出可能になるかもしれない。埋蔵量は計り知れないくらいだから、米国が資源大国として生まれ変わる可能性がある。

それに、広大な未開発の地域開発余地は十分ある。人口は、移民が引き続き流入しており人口が増えるから、環境問題を鑑みながら、効率的な交通システムを作り上げる必要がある。そのためには、地域交通システムの確立が求められる。だから、日本で言う公共投資を増やせば、それなりに経済は活性化するだろう。

後は、海外の需要取り込みでは、日本同様、米国はアジア太平洋地域に期待している。それはオバマ大統領の発言からも明らかだ。アジア太平洋地域に関与することが、国内の雇用を生み出すと考えているようだ。日本は、米国と共同で、お互いの長所を活かしながら、アジア太平洋を開発していくべきだろう。TTP等を通じて、具体的に、どのように協力して開発していくかを共通認識とする必要がある。

政治面では、11月の大統領選については、気がかりなことではあるが、誰がなっても、大きく舵とりが変わるということはないかもしれない。現状、オバマ継続の可能性が高いのではないか。また、共和党が、上院、下院の両方を押さえる可能性が高く、そうなれば、ねじれは解消されて、(皮肉にも民主党の大統領だが)政策遂行が速やかになるかもしれない。

だが、今世紀はアジアの時代。もういい加減に過去の栄光は忘れた方がいいかもしれない。一歩引いて、世界を見る余裕も必要だ。何もかも、米国が関与する必要もない。今までは、米国は世界の超大国という自意識過剰のように思える。

もちろん、近い将来、米国の復活はありえないことではない。それなりの役割を果たすし、求められるだろう。それにユーロの劣化で、相対的に浮き上がることも考えられる。だが、最早アジアへのコミットなしでは、米国の成長もあり得ないのは確かだろう。

ⅱ 欧州経済、低迷基調変わらず。更に悪化。

ユーロは短期間に組織を拡大したことが禍を招いていると言われるが、今問題になっているギリシャは1981年、ポルトガルとスペインが1986年に加入している。加盟国が急拡大してのは、2004年以降のことだ。

これは当初から理念だけで走り過ぎたことがすでに問題を孕んでいたということだ。実務や運営について十分に検討されたのか疑問が残る。もちろん、米国からの不幸な事件もあった。リーマンショックがユーロ運営組織にひびを入れたのが実情だろう。これは仮に将来、アジア経済共同体を築く時も十分参考になる。

さて、ギリシャ問題については、いつデフォルト(債務不履行)を発表するかということに尽きる。 ずるずるユーロ各国の思惑の中で、対策を考えても妙案は見つからないだろう。そうなれば、欧州の銀行は、ギリシャなどの過剰債務国の債券を多く保有しているから、ユーロは、大きく傷つき、混乱する可能性が高い。

ただ、ユーロ全体でみると、十分な支援をする余力があるとの見方もある。他の国が支援できればいいが、自国は傷つきたくないから、余裕のある国さえ、支援をしない状況だ。問題は、彼らで解決してもらうしかない。ユーロ圏外の国の支援は不要だろう。

もちろん、デフォルトの連鎖という事態も考えられないでもない(ポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリア)。また仮に、ギリシャがユーロ離脱すれば、結局、ユーロは解体ということになるかもしれない。そして、ユーロが暴落するシナリオがある。ただ、その可能性は低いように思う。

経済の実態は深刻だが、少し騒ぎすぎの感もある。ただ、かなりの部分で実態のない金融取引という虚業経済が蔓延った結果の反動が来ているのは確かだ。日本のバブル崩壊同様、経済が回復するには相当の時間を要するだろう。ユーロ経済には、しばらく期待できない。ここに無駄なエネルギーを投入することは避けたい。

日本は、貿易依存度が低い上、ユーロへの輸出に占める割合が10%弱だが、その比率の高い、ブラジル(18%)、中国(15%)、インド(15%)、韓国(15%)から間接的には影響は受ける。ただ、それほどに騒ぐ必要はない。ユーロ市場からは、早めに撤退すればいい。すでに片足は抜いているところも多い。

このように基本的に、老いた欧州は、大きく期待できる市場ではなくなりつつある。労働者の既得権が改革を阻む可能性が高い。彼らが国家の危機を感じるまで続くだろう。それに社会保障も重荷だ。社会保障関連ビジネスも順次縮小していくだろう。

結論として、2012年には、全体的に経済は更に縮小していくだろう。外部からは、ユーロ市場を含む西欧市場が当面(最低10年程度か)無くなったと考えた方がいい。現在は、キリギリス諸国が火事になっているのに傍観して、火を消さない状態が続いている。これが続けば、欧州は燃え盛って消えていく。すなわち幽霊市場になる可能性がある。

そうならないように、彼らの中から知恵者が現れるだろうか。しかし、どのように手を打っても、欧州は、しばらく世界の中で漂流する可能性が高い。

次回に続く。

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