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2011年12月26日 (月)

2012年動向予測 国際編(四) ブラジル・ロシア・中東・アジア諸国

2012年動向予測 国際編(三)の続き

ⅴ ブラジルは、やや変調に

2014年にサッカーワールドカップ、2016年オリンピック開催も、南米で初めて決まっているので、それまでは期待できる。ただ、ここへ来て、主要貿易国である、欧米と中国の変調から影響を受ける。

また、資金が集まり過ぎていることが懸念材料だ。資金が流入し過ぎて、それを止めるのに四苦八苦している。国内市場が形成されて、脱資源国家としては成功しつつあるが、中期的には発展しても、その先が見えない。

事実、課題も発生している。インフレ抑制→金利高→レアル高になっている。レアル高により、製造業が収縮している。日本と同じような課題だ。日本と同様、レアルが過大評価されているのだ。

逆に、レアル安になるとインフレの原因になる。海外市場の悪化で、交易条件が上がっても、輸出は停滞する。ユーロが不安定で、彼らが資金を引き揚げれば、どの新興国同様、危機が迫る。

対応するには、外資に依存する資金調達も脆弱過ぎるので、国内の貯蓄率を高める政策が求められる。現在は、ラテン国家特有の貯蓄率が低すぎる。これは今後のブラジルの発展を占うものだ。

また電力、輸送のインフラ整備も課題だろう。その他に、労働市場整備、社会保障の問題もある。また成長期の一時的な落ち込み期にありがちな不正や汚職の横行の問題もある。

ただ、これらは成長期の国にあるプラスの課題だ。現在、苦しんでいる先進国のマイナスの課題とは、大きく異なる。一つ一つ、課題を解決していけば、案外、明るいブラジルの未来が見える。

それに、資源国から脱皮していることもあり、中間層の厚みもあり、内需が成長する限り、急激な落ち込みはないかもしれない。でも、今の間に国の経済の質を高めることは有効だろう。成長のピークは若干伸びて、かつて2020年頃と見られていたので、ここで若干停滞しても、更に伸びる可能性がある。

ⅵ ロシアは厳しい経済運営迫られる(2011年と見方は変わらず)

ロシアは、ユーロと一体で考えなければならないのは変わらない。資源需要先のユーロが依然厳しい状態が続くので、ロシア経済は停滞するのは変わらない。2012年は、より厳しくなるだろう。ロシア経済はすでにピークアウトしたと捉えるべきだろう。資源以外の産業は育っておらず、資源国としての宿命として、プレの激しい経済は続く。

ロシアはユーロ崩壊後を睨んだ戦略としては、アジアに進出するしかない。新たな南下政策が始まったと見てよいだろう。例えば、中国東北地域との国境線では、すでにロシア内に中国経済が浸食している。経済的には、ロシア極東は、中国に呑み込まれる可能性が強い。もう無視するわけには行かない状況だ。

この他、朝鮮半島、日本、東南アジア諸国にも触手を伸ばすだろう。すでに彼らの行動に見られる諸々の駆け引きは、それを裏付けている。朝鮮半島の横断鉄道へのアプローチ、日本に対する北方領土を餌にしたエネルギー資源の売り込み、ベトナム・ミャンマーへのアプローチなどがそれだ。

また2012年、APECの首脳会議が、ウラジオストクで開かれる。それを理由に活発に行動を起こしている。基本は資源の販売のためだ。日本との関係では、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問するなど、一種の焦りも感じられる。

これは日本にロシアに関心を持ってもらいたいという気持ちがあったのかもしれない。つまり、米国が中国を警戒するように、ロシアも中国を警戒している。そのためには、日本を取り込みたい思いがあるかもしれない。

ところが、メドベージェフ大統領の北方領土訪問は、日本との1993年の取り決めを無視したものであり、日本からは当然、反発を食らい、また世界的にも信用を失墜した。やり方が間違っていたと言えるだろう。

ロシアは、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、北方領土を不当に占拠して、現在に至っている。結局、大統領の北方領土訪問は、ますます日本の不信感を高めただけだろう。そして、世界から、何をやるかわからないという疑念の目で見られている。

彼らが北方領土を返還しない限り、日本としては、政治でも、ビジネスでも相手にしないことだ。むしろ、ロシア進出する企業には何らかの制裁が必要だ。いずれにせよ、日本としては、政経共に期待できる相手ではないことは確かだ。

ただ日本にとって、言えることは、この国が苦境に陥った時のみ、交渉相手たりうる。その点は、冷静に対処しなければならない。2012年のロシア大統領選を睨んだ動向は、一応、注視する必要がある。

ⅶ 中東情勢

中東の不安定さは、米国などの外部からの圧力では解決しない。エジプト、リビアを始め、民衆が立ち上がっているが、スムーズに民主化への道を歩むかは疑問視されている。自然環境の厳しい国家は、必ずしも民主主義がいいとも言えない面がある。概して強いリーダーが求められがちだ。

中東のことは、中東に任せればいいのだ。彼らは無知ではない。中東には中東の知恵者がおり、彼らに任せれば、それなりに収まる。先進国は、基本的に、貧困の解消に手を差し伸べればいい。

中東の問題は、人口の増大と貧困の存在だ。それを解決し、落ち着くには、まだしばらく時間がかかる。しかし、いずれ中東(イスラム)市場が形成される。新しい産業を根づかせるため、今から、次世代、次次世代のビジネスを徐々に根付かせていくことが求められる。日本にとって、ビジネスチャンス到来だ。

特に日本に友好的なトルコとのビジネスチャンスは拡大するかもしれない。また日本と同様、震災も多く、それに伴う犠牲も多い。日本としては、震災対応技術の提供と、耐震住宅の促進のため、大いに協力すべきだろう。

原発も輸出する方向で政府は検討しているが、トルコは日本同様、地震が多く、日本の原発システムは十分確立されているとは言い難い。拙速な判断は、両国の関係を悪化させかねない。エネルギー分野で協力するのなら、別の分野もあるはずだ。

その点を除けば、日本にとって、トルコは中東に於いて、アジアにおける「台湾」と同じ役割を果たす可能性がある。すなわち、トルコを通じて、中東、中央アジア、中東欧との関係を強化できる可能性がある。これは先方も望んでいることでもあり、一考に値する。

ⅷ 朝鮮半島情勢(基本的な見方は2011年と変わらず)

韓国は、貿易比率が高く、欧米の低迷は、大きく影響を受ける。またウォン安は、輸出はしやすい環境になるが、国内の物価上昇に拍車をかける。今は自動車、家電関係は、日本の企業より活力があるが、偏っており、それらが傾けば国全体の運営も危うくなる。韓国にとっては、今後、より厳しい経済運営が求められるだろう。

特に、国内農業を説得して、各国とのFTAを推進してきた効果が逆作用する可能性もある。また海外の資金に頼った結果、流出すれば、大きな打撃を受けるだろう。すでに国内は貧富の拡大が大きくなっており、治世の混乱が生じるかもしれない。

彼らは、内政が困難になると、日本を非難して逃げ込むが、そんなやり方では何も解決しない。日本とは竹島領土問題で争っているが、そんなことに時間をかけるべきでないだろう。ましてや、慰安婦問題は論外だ。すでに両国間で解決済みのことで、慰安婦問題は韓国政府の問題だ。ここにも韓国政府の後進性が見て取れる。

裏読みすれば、韓国経済は危機に陥っているともいえる。格差の拡大、若年労働者の失業の多さ(100万人とも)、ユーロ危機に伴う輸出企業の不振が、国家の不安定さを物語る。危機に陥ると、日本の過去を攻撃して、憂さを晴らすパターンだ。

大統領選が12月にあるようだが、状況によっては、女性大統領の出現もあるかもしれない。これはあまりいいことではないだろう。どこの国でもそうだが、女性の国のトップは、大災害を蒙ったり、国の衰退を示す傾向がある。

また5月に万博(1000万人の来場者予測)があるようだが、あまり盛り上がらないだろう。マイナーな万博になる可能性が高い。それは日本国内でも、徐々に韓国ブームが飽きられ、その人気にも陰りが見えることも影響する。

更に、北朝鮮との関係は複雑だ。金総書記が亡くなったので何らかの変化を期待するが、韓国の経済悪化に伴い、統一問題は微妙だ。経済格差がある限り、統一は困難だが、韓国経済も不振になれば、その糸口も消える。

それに北朝鮮の経済は実質崩壊しており、現体制を維持できるか疑問がある。金総書記が亡くなったことで、最早、権力は盤石なものではない。後継体制も含めて、何が起こっても不思議ではない。体制内で不協和音が聞こえてくる。

周辺国家は、崩壊を留めるより、崩壊も止む無しとして、その体勢を整えるべきだろう。その事態は迫ってきたと言えるだろう。継続体制が、どのような方向に進むのかは予測しがたい。状況に応じて、臨機応変に対応するしかないだろう

基本的に、北朝鮮は、自然環境が厳しく、貿易を拡大しないと、生き残るのは難しい。今後、体制がどのようになるかわからないが、開放した方が断然メリットが大きい。日本としても、最悪の事態を想定しつつ、この国が開放体制に移行する場合の付き合い方の研究も必要だろう。

全体としては、朝鮮半島は、不安定になる可能性が高い。周辺諸国は、それを望まないが、何が起こっても仕方ない。ただ、逆に言えば、大きく変わる可能性もある。日本としては、柔軟な態勢で臨むべきだろう。

ⅸ 今後の期待が大きい東南アジア諸国

東南アジア関係は、中国に代わる投資先として、更に注目を集めるだろう。

台湾は、かつてほど中国と対立しておらず、現在、特に経済面では、持ちつ持たれつの関係だ。米国が囃したてるほど関係は悪くない。2012年の中国の主席交代による政治的日中関係の悪化を見越して、日台関係を、より深めようとする企業が出てきても不思議ではない。特に、中小企業は台湾企業との提携により、中国やアジアのビジネスを展開できる可能性を考慮すべきだろう。

タイの水害被害は、進出している日本企業に甚大な影響を与えた。元々、アジアの食糧庫として機能してきたのは、定期的な多くの水害が土地を肥やしてきた歴史がある。そこに工場を立地したことのリスク管理が、どのようであったのかは問われる。

タイは、明らかに国の形を変える上で、必要な対策を怠ったということだろう。日本の企業も、そこまでのリスクが見通せなかったということだ。今後、タイが、工業国として発展するには、自然災害に対する防災体制を整える必要がある。それに着手されないなら、日本企業は撤退も検討すべきだろう。代替国には困らないのだから。

またタイでは、初の女性首相が誕生したが、その政策運営には疑問点が多い。多分にポピュリズムに走る傾向が強く、あまり長続きしない感じもする。大体、政界において女性のトップは成功しないジンクスがある。しばらく、タイへの進出は慎重になるべきだろう。

ベトナムは、人口が8600万人もいるのに、未だ公共交通機関が発達していない。日本政府は新幹線とかの話を持っていくが、まだ早い感じだ。電力不足の解決のために原子力発電を輸出しようとしているが、使用済み核燃料の処理について、まだ何も解決していないのに、輸出は不適当だろう。

ベトナムは、今後、観光政策も睨んで、公共交通網の整備が必要で、日本としても協力できることはすればいい。また社会主義政策として、ガソリン価格を政府が補填するやり方は、国際収支を悪化させる。普通の経済原則にあてはめるべきだ。ベトナムの経済のピークは、後数年で、今後、徐々に落ちていくだろう。

インドネシアは、すでに日本とは輸出入の関係では高い比率だ。天然資源中心の貿易だが、今は過渡期かもしれない。2億2千万人の人口を活かすには、産業の高度化とインフラの整備が必要だろう。まず、日本と同様、海運体制と道路整備をやる必要がある。日本としては、これらのインフラ整備の協力と、更なる商材開発が求められる。国内市場が成長すれば、いずれ大きなマーケットになる。

その他の東南アジア諸国も注目を浴びるだろうが、ここでは割愛する。

次回に続く。

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