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2011年12月30日 (金)

2012年動向予測 国内編(三) 税制

2012年動向予測 国内編(二)の続き

⑨税制について

基本的に、自民党政権が悪化させた財政の立て直しには、民主党政権は苦労するだろう。ただオーソドックスな政策は、現在野党の自民党も反対はできない。彼らがどのように対応するか、国民は静かに見守っている。

財政は依然厳しい状態で、個人金融資産をあてにした国債等増発は極めて危険な発想だ。やはり残高を減らしていくことが必要だ。それには国民の理解も必要だ。このままの状態が続けば、将来の世代の生活にどう響くか、広報していくことが求められる。

まず、企業、個人事業に対する各種補助金は全面的に廃止が望ましい。補助金は、あまり費用対効果がよくない。補助金は基本的に天下り団体のためのものであろう。これは国だけでなく、地方財政においても同様のことが指摘できる。

そして、産業界や国民には辛いところだが、増税は避けられない。ただ言えることは、ここ十数年、減税をしすぎた。それを戻すしかない。今は、たびたび増税と報道されるが、バブル前の税制に戻すと考えた方がいい。

まず所得税は、累進課税の強化が望ましい。かつて昭和63年頃には税率区分が15段階もあったのに、今はたったの6段階。やはり高所得者に減税しすぎだろう。そのしわ寄せが中間層に税負担が重くなっているのは、政策的に矛盾している。中間層に厚みを持たせて国に活力を蘇らせるには、累進課税の強化は必要だ。

所得税の最高税率は昭和63年ごろは70%だったが、現在はは800万円超の所得に40%。明らかに低すぎる。また逆に、ほとんどの人(80%程度)が低い税率でしか、税を納めていない。これでは、税収が増えるわけがない。

多くの人は適正な税を納めず、公共施設等をタダ乗りしているのが実態だ。とても無理で矛盾した歳入・歳出構造になっている。早く、昭和63年代の税率構造に戻すべきだ。政府は、累進課税について腰が引けているが、早くやるべきだ。海外に金持ちが逃げるというのなら、そうすればいい(そのためには国籍を捨てる必要がある)。

法人税の減税についても、必要はないだろう。5%も減税してしまったが、ほとんど意味をなさないだろう。なぜなら主張していた多くの大企業は海外に進出していく。国内需要がせいぜい横ばいか微減なので、海外市場を開発するしかない。それは途上国中心なので、国内で生産していてはコスト競争力に限界がある。

すなわち、スピード展開を考えれば、市場に近いところで、生産するしかないという選択を迫られる。最早、国内空洞化などと言っておれない。ということは、法人税減税は、あまり意味を持たなくなる。うるさく言う財界は、どうかしている。法人税が高いから競争に勝てないというのは詭弁だ。法人税減税など本来不要だ。いろんな助成で、実効税率は業界によっては非常に低いことを一般国民は知るべきだろう。

また、中小企業に対する減税も見送られるべきだ。各種税の穴を見つけて、納税逃れをしている企業が圧倒的に多い。欠損法人は、公的なものをタダ乗りしている。あるいは利益を捻りだす出す努力が不足している。納税意識が低すぎるのだ。それは経営者に問題がある場合が多い。むしろ整理すべき企業が多い。

むしろ全体としては、企業活動の質による法人税の多様な税率も求められる。つまり、政策的には、頑張っている担税力のある企業に対して、多くの支援をするべきだろう。納税意識の低い中小企業は社会の悪と考えて、整理すべきだろう。

そんなところに支援する国の政策は疑問が多い。特に、金融庁の政策は、延命策を講じるだけで、全く意味がない。明らかに誤っている。企業のスクラップ・アンド・ビルド政策に立ち戻るべきだ。そうしないと国全体に活力が漲ることはない。

財産税についても、政府の政策は明らかに混乱が見られる。贈与税の控除幅を大きくして、高齢者から若い世代への移転を望んでいるようだが、あまり大きな成果は望めない。それに住宅に限定しているのだから、ほとんど意味はない。贈与税控除をあまり拡大するのは望ましくない。

財産税も、基本的には、そんなまどろっこしいやり方をしなくても、所得税同様、昭和63年ごろの税制に戻せばいい。例えば、相続税は、現在、税率区分は6段階で、3億円超に対して、最高税率50%だが、昭和63年代は、税率区分が14段階で、5億円超は最高税率75%だった。早く、その水準に戻すべきだろう。

また基礎控除も、かつては、2000万円プラス400万円に法定相続人をかけたもの(3200万円)だったが、現在は、5000万円プラス1000万円に法定相続人をかけたもの(8000万円)になって、ほとんどの人が、税を納めていない。この控除自体も、元に戻すべきだろう。

それ以外では、新税の検討が急がれる。情報化・国際化時代に対応した税制を確立しないと、歳入を増やすことは、ますます難しくなる。それに加えて税外収入を増やす工夫も必要だろう。

最後に、消費税は上げざるを得ない。これは本来、他の税目と性格が異なる。ピラミッド型人口構成から、逆ピラミッド型人口構成になっている現在、従来の社会保障体制を維持するなら、現役の将来を考えれば、当然のことであろう。

上げるのは、早ければ早いほどいい。政府は、2段階で上げる素案を出し、14年に4月(*注)に8%にし、15年10月に10%にするようだが、遅すぎる。党内の無知な議員が反対しているようだが、いくら政治が妥協の産物としても、あまりよくない。消費税問題は、自民党政権時代から延々と先延ばしして、財政危機を招いている。まさに、ゆでガエル状態だ。

国民には、消費税は、高齢者が増える時代には、相互扶助的な社会保障体制充実のため、上げることを説得すべきだ。政府は、やっと、そういう広報をしているが、今からでも遅くないので、国民の同意を得るべきだろう。大半の国民は、消費税増税を止むなしと見ているのだから、その使い方をしっかり仕組むべきだろう。

現役世代の社会保険料を負担軽減のため、皆で負担する消費税しかない。今般の状況から、消費税を上げることに抵抗する議員たちは、早く辞めていただきたい。危機感の足りない議員は、いらない。国の将来を何も考えていないことが明らかだ。

なお、これらの一連の税制改革が実現するのなら、主たる現役世代対象(18歳から50歳まで)の貯蓄優遇税制の確立も望まれる。

*注

その後の首相の発言によると、2014年10月に延期されている。

2012年動向予測 国内編了。

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