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2011年12月25日 (日)

2012年動向予測 国際編(三) 中国・インド

2012年動向予測 国際編(二)の続き

ⅲ 中国は成長のピークに。成長率低下か。

中国は、インフレ高進(エネルギーコストの上昇、食料品価格の上昇等)、不動産バブル、地方の公社の不良債権問題に悩んでいる。これらに対策を打っているが、やりすぎると反動が怖い。難しいかじ取りに追われている。基本的には、2011年の経済政策を引き継ぎ、穏健な金融政策と積極的な財政政策を続けるだろう。

ただ、国の成長に伴うもので、仕方ないことだが、コントロールのやり方を間違えば、バブル崩壊につながるので、当局も、神経質な運営になっていることだろう。だが、彼らは日本のバブル崩壊を研究しているし、バブルは全国的なものではないので、その程度は騒がれるほどではない。

基本的には、局地的バブル崩壊はあるかもしれない。報道では、2012年にバブル崩壊があると予測する向きもある。確かに大きな調整はあるかもしれないが、大きなバブル崩壊には至らないよう思う。仮にバブル崩壊しても、その規模は小さいだろう。

もちろん、それ以外に、さまざまな課題はある。まず、ユーロの崩壊による輸出の減少は、ある程度、景気に影響を与える。だが、致命的なものにはならないだろう。

それより、むしろ今までの内需拡大策が必ずしも広く国民のためのものでないことも問題だろう。インフレを起こし、多くの国民の生活は苦しくなっている。むしろ、その方が中国にとってリスクであろう。

例えば、急速に高速鉄道を敷設したことも大きな疑問だ。結果的に大事故を起こし、富裕者も乗車するのに不安だろう。もっと地道に、広く国民に役立つ一般鉄道の普及に努めるべきではなかったか。あまりにも急激な発展は、彼らに反作用こそあれ、それほど望ましいものではないはずだ。

軍部主導の宇宙開発や大型空母の開発も疑問が多い。これは胡錦濤氏の軍事戦略に沿うものとは思うが、技術の蓄積を図り、将来、軍需から民需への技術転換を図ろうとしたものされる。だが、技術の寄せ集めでは、心もとない。これはモザイク技術と言われても仕方ない。そんなものは、遠くない時代に崩壊しかねない。ここに中国国家リスクがある。

更に問題なのは、中国の人口構造問題だろう。人口動態では、すでに高齢化現象が現れており、一人っ子政策で歪んだ人口構成の若者たちが高齢者をどのように支えていくかは重要な課題になる。社会保障問題は、人口が多い上に、システムが未成熟なため、大きな困難を抱えている。

また賃金上昇も、海外進出企業の撤退の原因になりうる。賃金の急激な上昇は、あまりにも急激に海外資本の投資を求めた結果だ。また多くの法的未整備も問題だ。いくら商習慣とは言っても限度がある。地方政府の暗い部分も指摘されており、進出しずらい状況は早期に改められるべきだろう。

一方で、失業者も多い。大卒の未就業者の拡大は社会不安を起こす。これは日本のそれと比べても規模が大きく、問題だ。結果的に、学卒格差という事態を招き、農村部との格差も含めて、多様な格差が社会を不安定化させる可能性もある。これらは何が原因かと言えば、先ほども少し触れたように、海外からの投資主導の行き過ぎた成長モデルだろう。中国経済には目が離せない状況が続く。

政治的には、共産党指導部の交代がある。国家主席が交替し、今後、中国の政権の雰囲気は変わる可能性がある。経済面が引き起こす不安定さから、政治面では、旧守派の勢いは増している。政策の大転換の可能性もある。政治的には、日中関係は不透明だ。ただ、これだけ経済的に深い関係になると、逆戻りにはできないだろう。そのことは中国の首脳も理解していると思う。

しかしながら、大きな問題を抱えながらも、中国は、まだまだ発展する余地は十分にある。マスコミ報道に惑わされずに実地に確認する作業が大切だ。中国は、米国同様、国の中に多くの国があり、状況は様々であるから。

ⅳ インド経済は、問題を抱えながらも順調に(概ね2011年と見方変わらず)

インドは魅力的だが、すぐ帰りたくなる、と言われる。それほど気象条件は厳しく、環境もよくない。しかしながら、裏を返せば、ビジネスチャンスが大きいということ。2011年で、100万人都市が52に急増している。かつての日本のように田舎から都市に若い人が流入しているのだ。

それに、世界最大の民主主義国家であり、ビジネスは体制の違う中国より、やりやすいはずだ。現在、12億人の人口を抱え、インド経済がピークに達するのは、2040年頃と言われる。まだまだ可能性が大きい。後10年もすれば、中国経済を追い抜くだろう。

日本とは、日印EPA(経済連携協定)は合意しているので、それも後押しする。実際は、それまでに、ASEAN経由の貿易で、進めていたので、大きな影響はないとも言われるが、インドに進出している諸国家との競争では、やりやすくなることは確かだろう。

特にインフラへの貢献は大きいはずだ。道路、電力、水、港湾、鉄道など。ただ、民主主義国家ゆえ、中国のように一気には進まないことも覚悟しておくことも必要だ。それでも、日本は、少しずつ貢献している。

例えば、デリーの地下鉄は日本の技術、維持管理、省エネで大きく貢献している。これを各地に拡げて、人の移動をしやすいようにすることは可能だ。鉄鋼産業も、鉄は国家なりではないけれど、日本の鉄鋼産業は、インドをアジアの供給拠点にすることもできる(但し、当面は、インド国内需要をこなすだけで精いっぱいだろう)。電力開発も、いろんな面で協力が可能だろう。

また、医療・衛生等も日本の進んだシステムを持ちこむことによって、社会を改善することに貢献できるだろう。インドは、あまりにも偏った薬品に頼り、薬品漬になっているという。日本も医療において薬品の依存度が高いと言われるが、インドは抗生物質等に偏っていると言われる。そのため病が複雑化している。また医師不足の解消のためには、遠隔医療システムの導入も考えられる。早く、適切な医療体制の構築が急がれる。

今後の問題としては、成長に伴うひずみが生じることだろう。例えば、都市と地方の格差は広がるばかりで、田舎は放置されている。また全国にインフレの問題は深刻だ。地方は、都市の発展伴うインフレの被害も蒙る。燃料価格の高騰は、一般庶民の生活は苦しめている。

また十分に、物が行き渡らない物流面のネックもある。流通改革が望まれる。また資源開発に伴う環境汚染問題や自然破壊等が問題になる可能性がある。進出企業は、地元の長期的利益を鑑みながら、利益の還元が求められる。インド政府は、一つ一つ丁寧に解決していく必要があるだろう。都市と地方の均衡政策は、必須だ。

このように、インドは、日本にとって、中国より大きなビジネスの可能性を秘めている。都市部への人口集中はこれからも進んでいくと考えられ、その整備も含め、ビジネスチャンスは拡大するだろう。

総合的に判断して、日本のビジネスの仕方は、インドと合うと判断する。特に製造業が日本とマッチする。実は、都市部には、地方から若者が来るが、仕事のミスマッチから適した仕事が無い。若年失業率は10%もある。彼らを製造業で使えば、雇用も改善にも貢献できる。適切な管理者を見つければ、信頼関係を強めて、アウトソーシングする関係になることも可能だ。そうすれば、中小企業でも進出が可能だろう。

それは、いかに国や地方自治体が、誘導していくかにかかっている。相互の人材の交流の機会の創造、ビジネススタイルについての相互理解、現地調査などの推進が求められる。そのようにして、インド進出については、彼らの知識を活用して、進出した方が効果的だろう。だが、やり方は日本経営的な進出が望ましい。彼らには受け入れに柔軟性があるから大丈夫だ。

また、より良いパートナーを得ることは、インドでも同様に大切だ。進出の成果はパートナー次第だろう。インド人は、哲学的に優れており、彼らと競争するより、その優秀性を活用することの方が望ましい。彼らからアイデアをもらえばいい。

そして、他国はインド住民の生活を無視した進出をしているところもあるようだが、進出させてもらうという気持ちは大切だ。問題点としては、英語と日本語の壁をいかに打ち破るかということだろう。そのためには、日本で、彼らが住みやすい環境を整えて、日本進出を促し彼らとの交流を深めるべきだろう。

なお、7月には大統領選が行われるが、実際の経済の運営は首相が行っており、大きな影響はないと判断される。2012年は、欧州経済の不振で若干影響を受けるが、基本的に内需産業が主体のため、今後も期待は大きい。

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