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2012年2月18日 (土)

落語『お茶汲み』に関して

狂言『墨塗女』と、少し似た題材の落語は、『離別の涙』以外に、ずばり『お茶汲み』というものがある。備忘録的に記しておく。男は若い時は、誰でもそうだと思うが、皆が集まると、異性の話か、女遊びの話になる。男というものは、この関係の自慢話は、どうしてもしたくなる。

そこで、ある若衆が切り出す。「俺は最近、大変な女郎に出会ったぞ。というのも、俺の顔を見るや否や、あっと驚きの声を出した。訳を聞くと、男と田舎から手を携えて江戸に出てきたものの、落ちぶれて、この店に身を売った。ところが男は病を得て死んでしまった。その男が、おれと瓜二つと言うんだ。これは天からの巡りあわせで、これからも頼りになってくれと言う」

ところがところが、これは女郎の常套手段。男も気づくのだが、会うごとに情にほだされ、足繁く通う羽目になる。「そうすると、女は、年が明けたら、夫婦になってくれと言う。男心というものはいつも頼りなくて、愛想をつかされるかもしれないと思って、涙を流しながら、悲しくなると言うんだ」。

だが、その女は、茶碗の茶を指でそっと目につけている。それを見て、いっぺんに冷めてしまった。誰でも、あの手には引っ掛かるから注意が必要だ」と皆に、諭すように言う。いましたいました、こういう人。流風の先輩にもいましたよ(笑)。

それを聞いた友達は、それでは「おれが仇を取ってやる。その女郎の名を教えろ。その女郎にきっと恥をかかせてやる」と女郎のところに乗り込む。そこで女郎の騙しのテクニックを逆手にとり、女郎に夫婦になってくれと迫ると、女はふと立ち上がるので、「どこに行くのだい」と言うと、「ちょっと、待ってらっしゃい。今、お茶を汲んで参ります」とオチ。

昔から、玄人筋の女性の言うことを本気にしてはいけないと、子供の時から教えられてきた。「水商売の女性の商売上の言葉を真に受ける阿呆が多いから、お前が大きくなったら、気をつけるんだよ」等々(笑)。狂言『墨塗女』、落語『離別の涙』、『お茶汲み』も、そういう教訓話だ。今は、そういう教育は子供時代にはされないようだ。いいのか悪いのか。

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