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2012年2月17日 (金)

狂言『墨塗女』と女の本音

よく、女の武器は涙と言うけれど、男は、分っていても、案外騙される(笑)。例えば、何かで、部下の女性がしくじって、それを叱っていても、涙を見せられると、手ぬるくなりがちだ。女性は、それを心得ていて、涙をうまく利用する。猛者は、泣くふりをするだけだ。

それは狂言でもある。泣くふりをする理由は違うが、『平中物語』や『堤中納言物語』を、もじったものに『墨塗女』がある。あらすじは、訴訟のため上京していた、さる大名が、勝訴して、都を去ることになり、太郎冠者を連れて、馴染みの女に暇乞いに行く。

大名から別れを告げられると、女は悲しそうに泣き、大名も、涙を誘われる。ところがところが、その女は、傍に置いた茶碗の水をつけて、泣き真似をしていた。それを太郎冠者が見つけ、大名に知らせるが、それを信じようとしない。

そこで、太郎冠者は、こっそりと茶碗の水と墨をすっかり取り換え、再度、大名に会わせると、今度は、その女は、墨を目の下に塗り、顔が真っ黒。これには大名も驚き、女性の不実を知ると、それを知らしめるため、鏡を見せる。

そうすると、なんと女は逆ギレ。二人に墨を塗って追いかけるというもの。女は怖ろしい(笑)。純朴な田舎大名は、都会のすれた女に、見事に騙されたわけだ。そういうと、若かりし頃、流風が田舎から大阪に出てきた時、食堂のおじさんから、「大阪の女は怖いから、気つけよ。嫁さんは、田舎の女性をもらいな」とアドバイスしてくれた。

まあ、大阪の女性が、皆が皆、怖いわけではないが、う~んと思いたくなる場面は多かったように思う。ただ、大阪の女性は、涙で誤魔化すことは少ないように思う。何事もストレートた。それが誤解を受ける面もある。でも、少なくとも、この狂言の様な、大阪女の泣き真似は、あまり見た記憶はない。やはり顔で泣いて、心で舌を出すのは京女かな(笑)。最近の京女は違うと信じたいが。

*追記

落語にも『離別の涙』と題したものがある。設定は、江戸のお店(たな)の者が、京都・島原に馴染みができたが、急に江戸に戻らざるを得なくなったとしている。後の筋はほぼ同じ。この狂言から話を作ったのだろう。

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