« 明日はない~日々是好日 | トップページ | 一隻眼について »

2012年5月 8日 (火)

つろくということ

母方の祖母は、別に京都出身でないのに、京言葉をよく使っていたように思う。今回は、その中で、「つろく」を取り上げてみよう。祖母がよく言っていたのは、「そんなん、つろくせえへん」という言葉だった。

「つろく」の語源は、よくわからないが、意味はバランス、すなわち均衡ということのようだ。それを否定形にしたのが、「つろくせえへん」だ。要するに、釣り合いが悪いということだ。一番、よく使われたのがお見合いのバランス。家格がまだ重んじられた時代には、よく使われたようだ。その他には、学歴、歳、財産状態、社会的地位等々。

京都人に、こう言うと叱られるかもしれないが、昔は気位は高いが、貧乏人が多かった。お公家さんからして、そうであっただろう。それを庶民も、同様な感覚で、広がっていったと言える。

それに狭い社会で多くの人が住んでいるから、足の引っ張り合い。だから、他人のあら探し技術は天下一品。だから、どこから見ても、他人から、とやかく言われないように細心の注意を払ってきたことが、このような言葉を生んだのであろう。

祖母が京言葉を使った理由は知らないが、凡そ、京都人と同じ環境にあったのかもしれない。近所付き合いで、それなりに苦労したのかもしれない。「つろく」を重んじたのは、一つの処世術であったのだろう。

しかし、現在でも、行き過ぎた「つろく」は問題があるにしても、世の中、バランスは大切である。バランスを取りながら、前に進むというのは、堅実なやり方であろう。急進的なやり方が、今まで、日本では、あまり成功していないのは、人々の心に、「つろく」を重んじるということがあるからだろう。

|

« 明日はない~日々是好日 | トップページ | 一隻眼について »

考え方」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 明日はない~日々是好日 | トップページ | 一隻眼について »