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2012年6月20日 (水)

電力余剰の時代と原発

日本は、福島原発事故で狭い領土を“失った”ことを忘れたのであろうか。被災地は、使えない領土になってしまった。日本は、経済的、人的喪失だけでなく、巨大な損失を被ったのだ。

ところが、福島原発事故の技術的解明がまだなのに、政府は大飯原発を再起動させる決断をして、世界の笑い物になっている。関西の住民の多くは停電を覚悟していたのに、産業界の突き上げと電力業界、原発村という人々の圧力に負けてしまったのだろうか。

今後、原発は本当に必要なのだろうか。この論議は現在だけを見る近視眼的思考では、日本の将来を危うくする。

そもそも、日本の最終消費エネルギーの内、電力のシェアは約23%に過ぎないそうである。その中で、原子力の占める役割は低い。関西電力は15%を占めていたようだが、その他の電力会社は、それほど依存していない(*注1)。その原子力をめぐって、わいわいやっているわけだ。

基本的に、原子力推進は米国の意向を受けて国の方針であったことが大きく影響していることは間違いなかろう。安保関係者は、日本のような狭い領土内に、核保有や原子力発電は不向きなのに、核の論議に発展させる。

そして、国は、原子力発電は、電力会社に、努力せずに利益のうまみが大きくなるように誘導してきた。更に、それで恩恵を受けてきた発電地域の利権として財政依存が輪をかける。

だが、原油に代わるエネルギー資源として期待された原子力発電は、最早、高度成長時代の遺物だ。そして、子孫の巨大な負担を犠牲(使用済み核燃料の処理、廃炉の処理)にして、現在の人間が、電力を享受してきた。

これは、大いに見直す必要があるだろう。なぜなら、日本をはじめ先進国諸国は、今後、ゼロ成長かマイナス成長が待ち受けており、いかに政策を打とうが、それほど電力需要は生じない。

つまり、無理な輸出をしてきた家電、自動車分野も、最早、国内での生産ができない。なぜなら、原油価格の高騰は、資材コストを押し上げ、労働者の賃金を削って利益を出すのも限界に達している。原油価格は、更に上がっていき、発展途上国の安い賃金には対応できず、工場は海外に進出せざるを得ない。そうなれば、電力需要は激減する(*注2)。

また違った角度で見ると、日本の最終消費エネルギーという意味では、その消費の半分くらいは、熱需要である。その点、電力は、資源を燃やして熱を電力に転換しており、非効率でロスが多い。本来、熱は熱源として直接利用した方が、資源の節約になる(*注3)。そのようにすれば、電力需要は減少する。

そういうことを考え合わすと、今後は電力需要は減り、電力会社による電力供給は減らすべきということになる。となれば、火力発電、水力発電、太陽光等の自然エネルギーによる発電で、十分賄えることになる。そのためのコストダウンには、努めなければならないだろうが、システム的省エネ技術で、相当程度、カバーできるだろう(*注4)。

原子力発電のように使用済み核燃料の処理技術も定まらない未熟な方法で、高度成長時代に過大に拡大させてきたことは、もう止めにしないといけない。使用済み核燃料は将来の世代に負担がかかり過ぎる(*注5)。一部の人々のエゴだけで、残すことは許されないだろう。

*注1

但し、稼動状態で異なる。国の古い発表データでは、全国平均で30%とある。

*注2

国としては、今後、新たな輸出産業の育成は必要だが、偏った産業にはならないようにすべきだろう。それはドイツに学ぶべきだ。一部の産業に偏らず、幅広い分野で輸出産業として育成し、更に日本の規格で輸出すべきだろう。そうすれば、為替の変動で経営者が慌てることもない。

*注3

熱源はガス等に頼ればいい。風呂、湯沸かし、レンジ、暖房など。これらの電気使用を止めれば、かなりの電気量の削減になる。もちろん、一つのエネルギー源に頼ることはリスクが伴うので、国家としてはある程度、分散させる必要はある。

*注4

原発発電コストは、トータル的には一番高い。だから、火力発電、水力発電、太陽光発電が高いと言っても、まだましな方だ。今後の日本は、多分、非在来型石油・天然ガスを利用すれば、火力発電コストはもっと安くなる。ただ輸入する資源コストの管理がより重要で、日本にとってリスクであることには変わりない。

太陽光発電等自然エネルギーは、今後、住宅用の全世帯に推進する必要がある。7月から買い取り制度がより推進されるが、機器のコストダウンが強化されることに期待したい。

*注5

但し、使用済み核燃料処理技術については、今後も研究の面では推進する必要がある。

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