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2012年7月28日 (土)

業平の恋 その六

ところが、何度も業平が訪れるようになると、忍んでやってきても、すぐに噂になり、順子は、高子から業平を遠ざけようとする。まず、土塀の近くに衛視を配置して監視させ、業平が入れないようにする。

  人知れぬ わが通ひ路の 関守は

   よひよひごとに うちも寝ななむ

解釈は不要であろうが、蛇足的に記すと、「人に分らぬよう通った路にも、番人が張り付けられるようになったが、どうか毎晩、居眠りして欲しいものだ」というニュアンス。わかるなあ(笑)。

この歌を聞いた高子は、心を痛め、塞ぎこんでしまう。それを心配した順子(五条の后)も、あまりにも不憫と思い、業平が通ってくるのを許すのだった。しかしながら、文徳天皇の女御、染殿の后(明子)としては苦々しい思いであった。

彼女は、良房と長良の思惑を理解しており、高子を、清和天皇のお后にすることを望んでいたからだ。そして、正月を機に高子をついに隠してしまう。業平は、彼女が住んでいた住まい等、各所を探し回るが、見つけることはできない。

  月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ

   わが身ひとつは もとの身にして

「月は昔の月のままであるように、春も昔のままの春である。ところが、我が身だけは、最早、昔の私ではなく、恋しい人を想う身の上になってしまった」と業平は苦悶するのだった。

続く。

*注記

この記事は、『伊勢物語』のいろんな内容を、組み合わせて、独断で解釈する場合があります。あくまでも一個人の想像だということをお断りしておきます。

 

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