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2012年8月 7日 (火)

米紙が日本は円高を容認と報道

直接確認はしていないが、日本経済新聞によると、米紙ニューヨーク・タイムズが、2012年8月2日付で、日本政府が選挙で投票率の高い高齢者の歓心を買うために為替市場の円高を容認しているとする記事を掲載したらしい。

具体的内容は、「強い円は日本の世代を分断する」と題し、まず「円高は日本の製造業などに打撃となるが、円高によるデフレは金融資産を保有する高齢者にプラス」とし、「日本政府が円高に手を打たないのは、投票率が高く人口の四分の一を占める高齢者の機嫌を損ねたくない政治的な背景がある」としている。

為替の動向は、国際為替市場の動向も絡んで、それだけではないことは分った上で、更に、「高齢者の政治的な力が強まっている中、こうした傾向を反転させるのは難しいだろう」と解説しているそうだ。いろんな見方があるものだ。

このような分析は、当っている面もあるが、全面的に当っているかというと疑問が残る。ただ、日本は、福島原発事故に伴い、原発はあきらめざるを得ない。それにコスト的にもメリットがないと明らかになりつつある。

そうした中で、資源を安く入手するには、円高が望ましいのは確かだ。日本は貿易国家かもしれないが、輸出を主体とする国ではない。対GDPでは、輸出比率は15%にも満たない。そういうことを勘案すれば、日本にとって、円高が望ましい。

財界は、円高になると、すぐ大騒ぎするが、基本的に産業界は、円高になろうが、円安になろうが、柔軟に対応できる経営運営システムが望まれる。それができていないところが、騒ぐだけだ。政府も、それに煽られて、為替介入などをするが、これは明らかに一部産業界との癒着だろう。

それに円高介入して、ドルを過大に抱え込んでも、ドルは当面、今後も下落するから、日本としての資産は目減りするだけだ。そんなところに税金投入する旧態依然の財務省のセンスが疑われる。財務省としては、たくさんの米国債を購入しているので、それが減価するのを恐れているのだろうが、堂々巡りだ。

また高齢者が円高を望むというのは当っているだろうか。高齢者の経済状況は様々だ。円高で円の実質価値が高まっても、物の充足で、購買意識がそれほど高くない日本の高齢者は、円高メリットをそんなに感じていないと思う。それに金融資産を持つ高齢者の一部は、むしろ、投資した海外信託等が円高で目減りしているので、円安を望んでいるかもしれない(*注)。

いろいろ記したが、話を戻すと、はっきり言えるのは、高齢者が円高の強い支持者とは限らないということだろう。このタイミングで、米紙ニューヨーク・タイムズが、日本政府が円高を容認と報道したのだろうか。この報道の裏には、何かきな臭いものを感じる。

ただ、日本としては、円高に振れようが、産業界がどんなに騒ごうが、どんと構えておけばいい。変化対応できる柔軟性が、全ての国民階層に求められているということだけがはっきりしている。

*注

確かに、インフレになれば、年金生活の高齢者は、困るのは確かだろう。円安になれば輸入インフレの可能性はある。その時、所得が基礎年金だけの高齢者は、辛い状況になる可能性もある。それは電気、ガス、公共料金の値上げになる時だ。

*追記

ただ、米紙の論理は、正しいとは思わないけれど、国民全体としては円高が望ましい。輸出比率15%程度のために、円高介入して、85%の国民が犠牲になってよいとは思わない。

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