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2012年9月17日 (月)

反逆の人~赤松円心 その二

円心は、20代も終わり頃、越後生まれの臨済宗の禅僧に擦れ違い様に出会う。そして、彼に言われる。「何という人相だ。そなたは必ず世に出て、人々の指導者になるだろう」と。その禅僧とは、その後も強い関わりを生み、指導を仰ぐようになった雪村友梅(せっそんゆうばい)だ。

話は少し脱線するが、昔、似たような話を聞いたことがある。ある人が街を歩いていると、占い師に呼び止められ、手を見せて欲しいという。「見料は払えないよ」と言うと、それでもいいというので、それならと手を見せると、「あなたの手相は大変珍しい。必ず出世される」と言われたそうだ。その後、その人は、裸一貫から、会社を立ち上げ、それなりに成功されたという。

さて、話を戻すと、雪村友梅について、少し記しておこう。彼は、若い頃、修行のために中国に渡る。多くの優れた禅僧に学ぶ。ただ、その時は元が支配していた。当時は、日本人留学僧は、間諜と考えられていたため、捕えられ、彼を庇った禅僧たちも、捕えられ殺されている。雪村友梅も当然、殺されそうになる。

ところが、元の兵がまさに刀を振り下ろそうとした時、彼は「臨剣頌(りんけんじゅ)」を唱えたところ、死刑は中止される。当時の支配者の中に、彼を殺すにはしのびないと思った人物がいたのだろう。「臨剣頌」の内容は、次のようになっている。

  乾坤無卓孤笻地

  只喜人空法亦空

  弥重大元三尺剣

  電光影裏析春風

一部、見慣れない字があるが、「笻」とは、竹でできた杖のこと。解釈は難しいが、次のように理解されている。「天地の間には、一本の竹でできた杖さえも、立てるところはない。ただ、喜ばしいことは、人は空であり、法も、また空であることを悟るだけである。貴重な元の兵の三尺の剣で、私の首を刎ねたところで、稲妻のような、ほんの瞬間に、春風を裂いたのと変わることはない」と。

よく、この詩は、無学祖元の詩として紹介されているが正しくはない。実際は、雪村友梅によるものなのだ。このような海外で修羅場を踏んできた禅僧に、「お前は出世する」と言われたものだから、円心にしてみると、嬉しくて仕方ない。若い時、年輩者の何気ない励ましは勇気になるものだということを示している。彼は、この言葉を受けて、志を深くする。

続く。

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