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2012年9月24日 (月)

葛の葉の正体

以前にも紹介したように、安倍晴明の出生の秘密を物語にしたものがある。安倍晴明の母親は、実際は分からないけれど、物語では、葛の葉とされる。安倍保名と葛の葉は成り行きとして、なさぬ仲になる。二人は結婚して子供ができる。これが後の安倍晴明と言われる。

この辺は真実かどうかは分からない。何せ浄瑠璃に謳われていることだから、多くは小説と同類と考えてよい。浄瑠璃では、葛の葉は眠っている時に、狐の正体を現してしまう。正体がばれた葛の葉は、次の歌を残して去る。

   恋しくば 尋ね来て見よ 和泉なる

      信太の森の うらみ葛の葉

この歌にある意味は、葛は「裏見草」とも言われるので、愛する人と別れなければならない「恨み」とかけている。実は、葛は昼間、葉を閉じてしまう。だから、見えるのは裏側になる。葛の葉の特性を知らなければ、この歌の意味は理解できないだろう。そして、この歌にだけは、真実が隠されているようにも思われる。

それでは、葛の葉の実際の正体は何だったのだろう。狐と誤魔化さなければならない理由は何か。それはこの女性の二面性を表しているのかもしれない。フランス映画で、カトリーヌ・ドヌーブ主演の『昼顔』というのがあったが、夜は貞淑な妻を演じている女性が、実は昼の顔があったというイメージの物語だ。

葛の葉にも、そういう面があったのかもしれない。芦屋道満と通じていたという話もある。そこに安倍晴明の出生の秘密があるという。浄瑠璃では、美化されている女性も、現実は、もっとドロドロしていた可能性もある。逆に言えば、そういう複雑な家庭環境にあったから、安倍晴明という世にも稀な人物を生みだしたのかもしれない。

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