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2012年12月26日 (水)

2013年動向予測 国際編(三) インド・パキスタン

2013年動向予測 国際編(二)の続き

ⅲ インド経済は、問題を抱えながらも順調に

インドは魅力的だが、すぐ帰りたくなる、と言われる。それほど気象条件は厳しく、環境もよくない。混沌としていると言える。それだけに簡単には行かない。言い換えれば、底なし沼でビジネスするようなものだ。

だが、これは、裏を返せば、ビジネスチャンスが大きいということ。そこから蓮の花のようなダイヤモンドの原石が発見される確率は高い。それまでは大変だが、辛抱強く年月をかけて取り組むしかない。

それに、インドは親日的だし、世界最大の民主主義国家であり、中産階級は3億人おり、ビジネスは体制が違い反日感情の強い中国より、考えようによっては、はるかにやりやすいはずだ。ただ、民主主義国家ゆえ、中国のように一気には進まないことも覚悟しておくことも必要だ。また厳しい自然環境から導かれた若干ちゃらんぽらんな国民性に慣れることも大切だ(人間の本質ではないかもしれない)。

現在、12億人の人口を抱え、インド経済がピークに達するのは、2040年頃と言われる。若年人口の多さ、貯蓄率の高さ、内需の高さがインド経済の強みだ。まだまだ可能性が大きい。2050年には、人口が17億人になり、GDPは約28兆ドルとなり、世界第3位になり、日本の4倍程度の規模になると予測されている。

もちろん、景気の波は、どの国にもあるように、上げ下げはある。現在は、インフレとインフレ抑制の狭間で、当局は揺れている。インフレを放置すれば、生活困窮者が増え社会が混乱するし、そうかと言って成長しなければ、豊かにはならない。

だが、成長に伴いインフレを引き起こすと、賃金引き上げに伴い健全な成長を阻害する。これは途上国共通の悩みだが、人材のレベルを徐々に切り上げていけば、今後も順調に成長すると予測される。

日本とは、戦前から関わりは深い。インドの独立を日本は支援した。大東亜戦争に日本が負けたのが、1945年8月15日。インドが独立したのは、何の因縁か、その2年後の1947年8月15日だ。そして、1952年にインドと国交を樹立した。インドは、その後社会主義国になったが、近年、民主主義国に転換したため、日本としてもビジネスが期待されるようになった。

2011年の輸出入を合わせた貿易額は、1兆4000億円強だ。更に、日印EPA(経済連携協定)は合意しているので、それも日本企業のインドビジネスを後押している。すでに日本は、ここ3年の累積投資額は、増え続けている。

景気の変動の大きさ、低収益性、権利意識から来る労働組合の運動、各種訴訟の多さなど、多少の波風が吹いても、この流れは変わらないだろう。急いだ成果を求めず、インド人の知恵を活かしながら、じっくり取り組むことが求められる。

日本としては、今後、特にインフラへの貢献は、インド側も期待しており、大きいはずだ。道路、電力、水、港湾、鉄道など。日本は、少しずつ貢献している。インフラの面では、すでに、デリー・ムンバイ産業大動脈に、戦略的グローバル・パートナーシップの強化が示されている。

インドは、社会資本を充実させるための資金が不足しており、これをどう調達するかが問われている。具体的には、日本はすでに45億ドルの円借款などの金融支援を決め、水関係処理、環境、電力、鉄道、交通、ITの事業を推進する。

なお、外国直接投資を増やすための規制緩和も、国内の抵抗も強いようだが、徐々に進んでいる。総合小売業、航空業、保険業、年金、放送業、電力業も、その方向にある。

インフラ整備後は、インフラをベースに物流、保管の整備が求められるだろう。十分に、物が行き渡らない物流面のネックもある。流通改革が望まれる。また、ネット通販は拡大しており、彼らに信頼される仕組みの提供が求められる(なお、カード決済は普及していないので、当面は、代金引換対応だ)。

その他に、農産品の廃棄が問題になっており、多くの人口の胃袋を満たすためには、廃棄ロスを無くすことが大切だ。灌漑設備による農産品の生産拡大と共に、この面でも、日本企業の参画の可能性は高い。

更に、医療・衛生等も日本の進んだシステムを持ちこむことによって、社会を改善することに貢献できるだろう。インドは、あまりにも偏った薬品に頼り、薬品漬になっているという。日本も医療において薬品の依存度が高いと言われるが、インドは抗生物質等に偏っていると言われる。そのため病が複雑化している。

その一方で、インドの後発医薬品の輸出基地になりつつある。「世界の製薬工場」と言われている。それは価格競争力があるからだ。すでに世界4位で、シェア20%だ。品質はよくないとされるが、日本の製薬会社と組んで、品質を上げていく可能性も高いので、今後の注目点だ。

最近問題になっているのが、自殺者の多さ。インドでは、メンタルヘルスの管理が普及しておらず、この点での日本の貢献も可能であろう。医師不足の解消のためには、遠隔医療システムの導入も考えられる。早く、適切な医療体制の構築が急がれる。

今後の問題としては、成長に伴うひずみが生じることだろう。例えば、都市と地方の格差は広がるばかりで、田舎は放置されている。また全国にインフレの問題は深刻だ。地方は、都市の発展伴うインフレの被害も受ける。燃料価格の高騰は、一般庶民の生活は苦しめている。

資源開発に伴う環境汚染問題や自然破壊等が問題になる可能性がある。進出企業は、地元の長期的利益を鑑みながら、利益の還元が求められる。インド政府は、一つ一つ丁寧に解決していく必要があるだろう。都市と地方の均衡政策は、必須だ。日本企業は、この面でも協力は十分可能だろう。

このように、インドは、日本にとって、中国より大きなビジネスの可能性を秘めている。ちなみにインドの人口の7割は農村である。今後は、都市部への人口集中はこれからも進んでいくと考えられる。その都市の整備も含め、ビジネスチャンスは拡大するだろう。それに伴い、農村の思考も都会化すると考えられる。

更に、もう一つの視点として、インド、ミャンマー、タイの関係も見ておく必要がある。三国を結ぶハイウェーの建設が予定されており、これはインドの中国に対する鞘当てとも取れる。ミャンマーへは中国から影響力を強めており、国境がらみで、インドは警戒している。日本は、インドの立場も踏まえて、タイとの関係強化、ミャンマーに進出することは意義あると言えるだろう。

総合的に判断して、日本のビジネスは、インドと合うと判断する。確かに、成長率の鈍化傾向は最近見られるが、長期的視点で捉えれば問題ない。欧米企業のように結論を急ぐべきではない。ただ注意すべきは、トップ決済が重要だということ。インドとの交渉においては、今の今が大切なのだ。インド人は概して気が短い。よって即断即決できる決裁権のある人を交渉の場に立てなくてはならない。

また、より良いパートナーを得ることは、インドでも同様に大切だ。進出の成果はパートナー次第だろう。インド人は、哲学的に優れており、彼らと競争するより、その優秀性を活用することの方が望ましい。彼らからアイデアをもらえばいい。

そして、他国はインド住民の生活を無視した進出をしているところもあるようだが、進出させてもらうという気持ちは大切だ。問題点としては、英語と日本語の壁をいかに打ち破るかということだろう。そのためには、日本で、彼らが住みやすい環境を整えて、日本進出を促し彼らとの交流を深めるべきだろう。

また外交関係では、日印安保協力の拡大を推進している。これは日米同盟の深化の一環とも受け取られている。そういう意味でも、日本にとって、インドは重要な国だ。

なお、注意すべきこととしては、カースト制度は厳然と生きており、身分社会であることに変わりはない。都市部では若干、それは意識されなくなりつつあるが限られる。よって日本的に変な平等主義を持ち込むと、組織運営はうまくいかないことに留意すべきだろう。

ⅳ パキスタンは成長の可能性が大きい

パキスタンの可能性について、ほとんどの経済評論家は論じないので、インドに隠れて、あまり注目されないが、魅力的な市場を持つ。インドネシア同様、イスラム教国だ。

現在の人口は約1憶8000万人。国連の予測だと、2030年に2億6600万人に達するという。更に2050年には3憶3500万人になるらしい。国自体も若く、これから更に増えていく生産年齢人口の多さが魅力だ。

インドのようにカースト制度もなく、権利意識が薄いので、労働組合が存在しないのも、経営者にとってメリットだ。それに日本に親日的だという。その理由は、日本が政府開発援助を純粋にパキスタンのために投じてきたことを彼らは分っており、日本に好意的だ。

戦後の廃墟から復興を成し遂げた上に、日本の商品の信頼性への尊敬と憧れもある。更に、戦時中、日本が幸いにも、軍が進駐していないことも好意的な原因の一つらしい。日本企業は、インド市場攻略と共に、隣国のパキスタン市場にも注目すべきだろう。

なお、旧東パキスタンは、現在、バングラデシュだが、日本政府は貧困撲滅のために援助しているが、国の腐敗が激しく、思うようになっていない。当面、バングラデシュよりパキスタンに注目した方が賢明だろう。

以上。次回に続く。

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